[県警戒基準上げ] 危機感持ち感染抑止を
( 5/9 付 )

 鹿児島県は新型コロナウイルス感染の急拡大を受け、警戒基準をステージ2(感染者漸増)から3(感染者急増)に引き上げ、1月以来2回目となる「感染拡大警報」を発令した。
 新規感染者が多い鹿児島市、霧島市、奄美市、沖永良部島(知名町、和泊町)の計5市町の飲食店に、10日から警報期間の23日まで営業時間短縮を要請する。県外への不要不急の移動の自粛、県外の感染拡大地域からの来県自粛も求めている。
 感染者の急増が続けば、医療提供体制は逼迫(ひっぱく)しかねない。今回は感染力の高い変異株の割合が増え、人の移動が活発化した大型連休の影響が今後出てくる恐れもある。県は強い危機感を持って感染抑止を最優先に、対策に万全を期さなければならない。
 県内の新規感染者数は4月下旬から増えだし、流行「第4波」到来が鮮明になっている。県によると今月5日時点で、警戒基準を判断する主な指標7項目のうち、最大確保病床占有率など5項目がステージ3に相当していた。
 医療現場への影響は出始めており、知名町で1日にクラスター(感染者集団)が確認された沖永良部島では、唯一の病院のコロナ用病床が満床になった。県本土でもコロナ用に確保した病床が埋まった医療機関がある。コロナ以外の患者への対応に支障が出かねないと懸念する声が上がっている。
 感染抑止には、早期に感染者を把握し対応することが不可欠だ。無症状者を含め、より多くの人がPCR検査を受けられる体制づくりが求められよう。併せてコロナ用病床の確保や、負担を強いられている医療従事者の健康管理への目配りも欠かせない。
 気掛かりなのは変異株感染者の増加だ。県内でも4月後半に感染者の47%に上った。2~4月に確認された変異株感染者の8割は20~50代で、平均年齢は30代半ばだった。比較的若い世代に広がっていることがうかがえる。
 変異株は若者も重症化しやすい傾向にある。また若者が感染に気付かず活発に行動すると、感染を広げかねない。会員制交流サイト(SNS)の活用など若い世代にしっかり届くメッセージの出し方を考えるべきだろう。
 4都府県に発令中の緊急事態宣言は今月末まで延長され、愛知、福岡両県が追加される。人の流れが止まることで鹿児島県内でも地域経済への影響が懸念されている。長引くコロナ禍で苦境に立つ事業者への実態に合った機動的、効果的な支援をさらに工夫したい。
 3密を回避し、マスク着用と手洗いを続ける。体調が悪ければ、かかりつけ医などに相談する-。一人一人が「感染しない、感染させない」取り組みを改めて徹底すべき時だ。