[入管難民法改正] 根本的な解決策検討を
( 5/11 付 )

 入管施設での長期収容解消を目的とする入管難民法改正案が、今国会で審議されている。
 身柄の拘束を解いて日本での生活を認める仕組みを増やす一方で、本国への送還を厳格化する内容だ。成立すれば、迫害を受ける恐れのある国に送り返し、命に関わる事態を招きかねない。
 日本での難民認定は先進国と比べて桁違いに少なく、改正案は長期収容問題の根本的な解決になるとは思えない。人権を重視した法改正とともに、難民認定の在り方を根本的に検討すべきである。
 不法滞在などで国外退去処分を受けても、難民認定申請中は強制送還が停止される。そのため帰国しないで申請を繰り返すといった送還忌避者は、3000人余りで推移している。一昨年、長崎県の施設で長期収容に抗議してハンガーストライキ中のナイジェリア人男性が餓死したことが、法改正のきっかけになった。
 改正案では、同じ理由で3回以上申請した人は送還可能とする。送還逃れを目的とし、収容長期化の要因となっている申請の繰り返しを防ぐためとしている。
 改正案の中で最も懸念されている点だ。認定されるべき人が送還され、生命の危険にさらされる恐れがあるからである。申請を重ねても認められず、裁判で争った末、ようやく難民と認定された人は少なくない。
 出入国在留管理庁によると、最近の難民認定者数は年間50人以下で推移しており、昨年の認定率は1.3%にとどまる。海外では数十%の国もあり、日本は「難民鎖国」と非難を浴びてきた。
 難民保護の中心である国連難民高等弁務官事務所が、改正案に「非常に重大な懸念」を表明したのも当然だろう。
 支援者や弁護人を「監理人」として一時的に社会で生活できる「監理措置」も新設する。監理人に入管への報告を義務づけ、逃亡には罰則を科す仕組みだ。支援する立場の人に監視役を担わせては互いの信頼関係は築けないだろう。制度として十分に機能するのか。
 難民に準じる「補完的保護対象者」として在留を認める制度も設けるが、条件が厳格になり救済範囲が狭まる可能性が指摘されている。
 そもそも外国人を収容する主体の入管当局が、難民認定をも担うことに問題があるのではないか。
 難民認定率が低いまま、国外退去を徹底させるだけでは、長年国際社会で批判の的になっている収容長期化の解決にはつながらないだろう。
 収容は自由を奪う以上、裁判所の審査のほか、事情聴取での弁護士の立ち会いなど第三者が介在するような仕組みは欠かせない。入管行政全体の見直しも含め、改正案の審議を深めなければならない。