[梅雨入り] 早めの避難徹底したい
( 5/13 付 )

 鹿児島地方気象台は、奄美、沖縄地方に続いて九州南部が梅雨入りしたとみられると発表した。観測史上2番目の早さである。県本土と種子島・屋久島は来週にかけて雨や曇りの日が多い見込みで、大雨の恐れもある。
 雨による崖崩れや地滑り、河川の氾濫などの災害が起きやすい時季を迎えた。一人一人が命を守る早めの避難を心掛けたい。
 近年、大雨による災害は激甚化している。昨年7月の豪雨では、阿久根、出水、伊佐、長島の4市町に初めて大雨特別警報が発令され、土砂災害による住宅被害が相次ぐなど県内に大きな爪痕を残した。熊本県南部は球磨川が氾濫し、死者65人、行方不明者2人という甚大な被害が出た。
 一方、この豪雨の際、熊本県内では河川を管理する国土交通省、周辺自治体、住民が大雨時にどのように行動すべきかを時系列にまとめた「事前防災行動計画」(タイムライン)が人命を救うのに役立ったという見方がある。
 タイムラインは先を見越して動くことができ、早め早めの行動が可能になる。熊本県は本年度、家族ごとに「マイタイムライン」をつくるよう提唱。備蓄品の補充、家族への注意喚起など状況に応じた動きを細かく設定する。避難開始のタイミングが明確になるなどの効果が期待されるという。県のホームページで紹介しているので、参考にしたい。
 天候の悪化が予想される際は、普段以上に気象情報に注意しなければならない。気象庁は今年の梅雨期から、積乱雲の連続発生で同じ場所に雨を降らせ続け、豪雨災害の要因の一つとされる線状降水帯の情報も発表する。テレビやラジオ、インターネットなどで常に最新の情報を入手しよう。
 雨の後も警戒は怠れない。1997年の出水市針原の土石流災害は、雨がやんでから約4時間後に発生した。地下水の圧力に耐えられなくなった岩盤が深層から崩れる「深層崩壊」が起きた。山鳴りや川の水が急に濁るなど土石流の前兆現象に気を付けたい。
 新型コロナウイルス流行「第4波」のさなかである。避難所で感染が広がる複合災害を招かないよう、検温や消毒に加え、3密回避などの対策を徹底しなければならない。
 昨年7月の豪雨時、志布志市は避難所に簡易テントを導入しプライバシー保護と感染対策の両立に努めた。各自治体は避難者の安全を最優先に、さらに知恵を絞ってもらいたい。
 非常時持ち出し品は準備してあるか、ハザードマップで家や職場の周囲や避難経路の安全性を確認したか、高齢者など1人で避難が難しい人は近くにいないか-。自治体、住民は平常時にこそ、防災の備えを点検しておかなければならない。