[馬毛島デモ飛行] 不安解消につながるか
( 5/18 付 )

 防衛省はおととい、西之表市馬毛島の上空で航空自衛隊のF15戦闘機によるデモ飛行を実施した。
 米軍空母艦載機の陸上離着陸訓練(FCLP)移転を伴う自衛隊基地整備計画について、騒音の程度を住民に示すためである。
 実際の訓練のように米軍機が離着陸したわけではなく、あくまで疑似体験だ。防衛省は住民の不安解消を目指すのなら、まずは想定されるあらゆる騒音データや事例を示すべきである。
 FCLPでは馬毛島を空母に見立てて急降下、急上昇する「タッチ・アンド・ゴー」を行う。その音量に近づけるため、島を通過する時にエンジン出力を上げたという。午後3時半~4時半に5機、午後6時~7時に2機が数珠つなぎに島の周囲を飛んだ。飛行高度は公表していない。
 騒音は西之表市、中種子町、南種子町、屋久島町、南大隅町、三島村の6市町村14地点で測定した。実測値は後日公表する。
 住民の受け止めは「大した音ではない」「低音で体に響く感じ」とさまざまだ。基地建設に反対する八板俊輔西之表市長は「実際はもっと大きな音がするのではないか」と述べた。
 聞こえ方には個人差があろうし、時間帯によって違うはずである。風向きなどの気象条件にも大きく左右される。住民から「1回飛んだだけでは判断できない」との意見が聞かれたのは当然だろう。
 さらに米軍機が低空飛行など予定外の行動を取る懸念は拭えない。先月には米軍輸送機オスプレイが徳之島空港に運用時間外の夜、事前通告なしに着陸している。防衛省は深夜や低空でのデモ飛行も行うべきではないか。
 沖縄大学の桜井国俊名誉教授は「沖縄で米軍機は日米で決めた飛行経路を度々破っている」とし、防衛省に他地域での米軍機の飛行データを求めるなどして馬毛島での訓練のイメージを得ておく必要性を指摘している。
 南日本新聞社が4月15~18日に実施した県民世論調査では、基地計画に反対と答えたのは52.1%で、賛成39.2%を上回った。
 反対の理由で最も多いのが「騒音や事故が心配」34.4%である。県民が最も不安を持っている点に対し、防衛省はデモ飛行の結果に気象条件などを加味して説明を尽くすべきである。
 一方、熊毛支庁から視察した塩田康一知事は「住民の判断をミスリードする可能性がある」として感想は語らなかった。県の考えは、環境影響評価の準備書が出された後に示すという。
 基地整備が着々と進む中、知事は自身の考えをいまだに示していない。馬毛島FCLPは県全体の問題である。もっと積極的に発信し、議論の機運を高めるべきだ。