[買い物弱者] 官民連携し支援推進を
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 地域の過疎化や高齢化で日常の買い物に困る「買い物弱者」に、新型コロナウイルスの感染拡大が追い打ちをかけている。
 農林水産省がコロナ禍の影響を全国の市町村に聞いた2020年11~12月実施のアンケートによると、回答のあった鹿児島県内24市町村のうち伊佐市や日置市など7市町村(29.1%)が「増加、顕在化」と答えた。全国(29.7%)とほぼ同じ割合だった。
 流行の「第4波」は鹿児島でも拡大しており、困難に直面する人はさらに増えかねない。住民の食料品確保や生活の質の維持は、感染防止と並ぶ重要な課題だ。行政と民間が連携して支援を進めるべきである。
 過疎地に限らず都市部でも買い物に困る人は少なくない。大型店舗進出による地元商店街の衰退や公共交通の縮小、高齢者の運転免許返納の増加など要因は複合的だ。その現状にコロナ禍が拍車を掛けた形だろう。
 感染拡大を機に生鮮食品も購入できるインターネット通販の利用が広まっている。しかし、抵抗感を持つ人はまだ多いに違いない。機器の操作が不慣れな高齢者のトラブルも心配される。
 こうした中、増加しているサービスが移動販売車だ。薩摩川内市では、事業者が運営する移動販売車の20年5月の客単価が前年同月より17.6%伸びた。感染を恐れて外出を控えたり、「密」を避けるために親類や介護者らの訪問の機会が減ったりしている。食料品や日用品の入手が難しくなった人の需要が伸びたとみられる。
 密を避けられる屋外で買い物ができ、目で見て選ぶ楽しみがある。県内でも広がっているのは心強く、出水市では地域おこしグループが事業を拡充し好評という。
 課題はいかに採算性を確保し持続させるかだ。地域住民を守るインフラと考えれば、行政の支援が必要だろう。
 南九州市が本年度始めた補助金制度は住民や業者の要望がきっかけである。高齢者の見守り、介護予防などと組み合わせれば、財政に余裕のない自治体も負担を軽減でき、必要な役割を民間と補完し合えるのではないか。
 ただ、移動販売や宅配で全てをカバーするのは難しい。自動車がなくても高齢者が移動しやすい交通環境を整えることも重要だ。肝付町は人工知能(AI)で効率性を高めたデマンド交通(事前予約型乗合タクシー)を買い物弱者対策に活用している。このような先進事例も積極的に取り入れたい。
 買い物弱者対策は福祉、交通、商工など多分野にまたがり、行政の部署を横断する施策が求められる。総合的な対策に今から取り組むことが、コロナ後にもつながる。