[避難情報見直し] 命守る速やかな対応を
( 5/21 付 )

 災害から住民を守るために市区町村が発令していた避難勧告が廃止され、避難指示に一本化された。
 避難情報を分かりやすく伝える形に見直して、気象に関する詳しい知識を持っていない人も逃げ遅れることがないよう促す狙いがある。
 梅雨期に入り、災害のリスクは高まっている。避難指示が発令されたときは危険な場所から避難を始めるタイミングであることを、自治体は周知に努める必要がある。住民も命を守るために、いつでも迅速な行動を取れるよう防災意識を高めたい。
 避難勧告・指示は1961(昭和36)年、災害対策基本法で規定された。勧告と指示の違いが理解されていないとして、今回初めて見直した。
 避難勧告は時間的余裕をもって発令されていたため、住民の中には差し迫った状況で出る避難指示まで待ち続け、逃げ遅れて被災してしまうケースがあった。自治体は今後、勧告を発令していたタイミングで指示を出す。
 併せて風水害情報を5段階に分類する「大雨・洪水警戒レベル」も改定された。これまでは上から2番目のレベル4に避難勧告と指示を併記しており、「分かりにくい」との声が上がっていた。避難指示に一本化されたのを踏まえ、レベル4のうちに避難を済ませることを肝に銘じておきたい。
 災害が起きやすい山間部や河川周辺に住んでいる高齢者をはじめとする災害弱者は少なくない。目の前に迫っている危険を伝えて、いち早く安全な場所に避難してもらうことが欠かせない。
 今回の見直しで、こうした災害弱者に対する避難支援策も打ち出された。手助けが必要な人ごとに避難ルートや避難先を事前に決める「個別避難計画」を作成することが、市区町村の努力義務とされた。
 南日本新聞が2~3月に実施したアンケートでは、鹿児島県内43市町村のうち、3割に当たる14市町村がこのような計画を作成していなかった。要支援者が多いことや、支援に当たる民生委員が少ない点を理由に挙げている。
 避難指示一本化の実効性を高める上でも、具体的な避難の手順や支援態勢を示した計画を作っておくことが必要だろう。
 新型コロナウイルス感染拡大を受け、3密を避けて避難所の収容人数を減らすなど、避難と感染防止の両立が求められている。状況によっては公民館や体育館といった避難所に身を寄せるのではなく、自宅の上階に移動する「垂直避難」も選択肢の一つになる。
 自分がいる場所の危険性を把握し、どういう状況になったら、どこに避難すればいいのか。避難指示が出たときに速やかに対応できるよう一人一人が日頃から想定しておくことが肝心だ。