[終盤国会] 党首討論してはどうか
( 5/22 付 )

 通常国会は来月16日、会期末を迎える。
 衆院議員の任期は10月までで、9月の解散が有力視される。選挙前の最後の国会となる可能性がある。
 今国会での論戦は有権者の判断材料の一つとなろう。「政治とカネ」の問題をはじめ重要課題は山積している。徹底した論議を求めたい。
 2019年参院選広島選挙区の買収事件で、有罪が確定した河井案里元参院議員陣営に対する自民党本部からの1億5000万円の送金と買収資金の関係は未解明のままだ。
 二階俊博幹事長は今週の会見で、送金に関し「私は関係していない」「個別の選挙区の選挙戦略や支援方針はそれぞれ担当で行っている」と述べた。
 当時選対委員長だった甘利明税制調査会長も「全く承知していない。事件後の報道で初めて知った」とし、二階氏側近の林幹雄幹事長代理は「根掘り葉掘り、党の内部のことまで踏み込まないでほしい」と取材を封じ込めようとさえした。
 党幹部が責任を押し付け合い、まるで人ごとのように発言する態度にはあきれる。送金分のうち1億2000万円は税金が原資の政党交付金から支出されている。決して党内部の話では済まされない。
 自民は、有罪が確定した案里元議員の当選無効に伴う先月の広島選挙区再選挙で敗北した。「政治とカネ」問題から生じた政権不信が要因だろう。
 当時、官房長官として、てこ入れに懸命だった菅義偉首相は「国民の審判を謙虚に受け止め、正すべき点はしっかり正したい」と述べたが、具体的行動を起こした形跡はない。
 河井氏の選挙当時、党総裁だった安倍晋三前首相にも当然、説明責任がある。党本部が支出した巨額資金について調べ、国会で「正すべき点」を示してもらいたい。
 2月に発覚した総務省幹部への放送事業会社などからの接待問題も全容が明らかになっていない。菅首相の長男が接待側にいたことで、放送行政がゆがめられなかったのか。
 憲法改正手続きに関する国民投票法改正案は、広告規制と並行し憲法本体の議論を訴える自民に、立憲民主党は規制導入による投票の公平性確保がなければ改憲議論は不可能としている。
 安全保障上重要な土地利用を規制する法案では、個人情報保護に懸念が指摘されている。五輪の医療提供体制を巡る議論も欠かせない。いずれも結論ありきの拙速な議事運営を避け、選挙にらみの政局にしてはならない。
 野党は内閣不信任決議案の提出は見送る方針だ。コロナ禍により戦術が限られているのであれば、2年近く開かれていない党首討論の開催を求め、国民の前で真摯(しんし)に議論すべきである。