[教員の性暴力] 法整備で被害の防止を
( 5/23 付 )

 衆院文部科学委員会は、わいせつ行為をした教員を教育現場から排除するための法案を衆院に提出することを決めた。超党派の議員立法で、早ければ月内にも成立の見通しだ。
 教員による児童生徒へのわいせつ行為などを「児童生徒性暴力」と定義。わいせつ行為で懲戒免職となった教員への免許再交付は、都道府県の教育委員会が、設置した審査会の意見を聴いて判断する。事実上の拒絶権を教委に与えるもので、わいせつ教員根絶へ一歩前進といえよう。
 児童生徒へのわいせつ行為は、子どもの信頼を裏切る悪質極まりない犯罪だ。被害をなくすための法整備を急ぐとともに、子どもたちが相談しやすい環境を整えることが求められる。
 現行の教育職員免許法では、教員がわいせつ行為などで懲戒免職になり、免許を失効しても、3年後に再取得が可能だ。処分歴を隠して教壇に立ち、再び問題を起こす事例もあった。
 法案では、第三者でつくる教委の審査会が、更生状況などが「適当であると認められる場合」に限定して免許を再交付する。
 文部科学省は昨年、再取得の制限を強化する法改正を検討したが、刑法上服役後10年で前科とみなされなくなることと整合性が取れず、見送った。今回の法案は、教委に裁量的な拒絶権を与えることで壁を乗り越えた形だ。
 ただ、処分されずに自主退職したケースなど、判断が難しい場合もあろう。教委に丸投げせず、客観的に結論を導くための統一的な基準が必要だ。
 文科省も対策強化に乗り出している。わいせつ行為が判明した場合、原則として懲戒免職にするよう、各教委に厳しい対処を要請。処分が告示される官報の情報検索システムを導入し、当初3年分だった閲覧期間を40年分に大幅延長した。法案では、わいせつ行為による教員免許失効者のデータベースを国が整備すると規定した。
 情報共有により、再発防止が期待される一方で、「権利侵害にあたる」との声も上がる。子どもを守ることが大前提だが、更生を妨げないよう、運用には慎重を期さなければならない。
 2019年度にわいせつ行為やセクハラで懲戒処分や訓告を受けた公立小中高校などの教員は273人で、18年度に次ぐ多さだった。
 専門家は「教員は学校で絶対的に優位な立場にあり、誰でも加害者になり得るという発想を持つべき」と指摘する。教員や養成課程の学生を対象にした、モラル向上のための一層の研修が欠かせない。
 子どもたちのSOSを早期に捉えることも重要だ。異変に気付いたり、被害の相談を受けたりした学校や大人が、十分な配慮をしながら調査・対応するための態勢づくりが急がれる。