[小選挙区25年] 山積する課題どう解消
( 5/25 付 )

 小選挙区比例代表並立制による初の衆院選が1996年10月に実施されてから今年で25年になる。定着した一方で弊害も指摘される。
 民意が反映されにくい制度であり、森友、加計学園問題や「桜を見る会」など長期政権のひずみが露呈した「安倍1強体制」を生んだ要因の一つともいわれる。
 今秋までには小選挙区制で9回目の選挙が行われる。制度の課題をどう解消していくのか。国民の関心を高めて議論を深める必要がある。
 自民党が長期政権の「55年体制」を築いた基盤は中選挙区制だった。だが、同じ選挙区で戦う自民候補同士による利益誘導合戦を招いた。派閥政治の弊害や金権政治の温床とされ、94年の細川連立政権下で政治改革関連法が成立した。
 こうして導入された小選挙区制は第1党が得票率以上の議席を得られる仕組みがある。民主政権が誕生した2009年選挙で民主の得票率は47.4%だったが、小選挙区の議席は73.7%を占めた。一方に大きく振れやすく政権交代を可能にする制度と言われるゆえんだ。
 ただ「死に票」が多く出るため、国民の関心が薄れ、投票率低下を招いたとの指摘もある。「死に票」対策として設けられた比例代表は民意を反映しやすいとはいえ、落選候補「復活」の仕組みなど有権者には分かりづらい。
 小選挙区制導入で公認権と資金を握る党幹部の力が格段に強くなったのは間違いない。例えば、中選挙区制なら無所属で立候補して当選し自民党に復帰できた。だが、小選挙区制では党の公認を得られるかどうかが議員にとっては死活問題となる。
 安倍晋三前首相はさまざまな問題を抱えながら通算在職日数は憲政史上最長となった。その権力の源泉も中央省庁の幹部人事を掌握する内閣人事局の創設とともに、こうした小選挙区制の仕組みにあると言える。
 小選挙区制は諸外国のように日本に二大政党制を根付かせる狙いもあった。一度は民主党が政権を奪取したものの、その後政権批判の受け皿となり得るほど野党に対する国民の支持は広がっていないのが現状だ。
 さらに問題なのは、新人の国政進出を阻む壁にもなっていることである。一つの選挙区で1人だけ選ぶ制度では、知名度のある現職や元職が有利になる。衆院はいつ解散があるか分からず、育児や介護に追われがちな女性には一層ハードルが高い。
 この四半世紀で女性の社会進出が進み、国民の意識は変わった。それに見合う制度に改める必要があろう。どうすれば活発な政策論争ができ、多様な人材を国会に送れるか。政治家一人一人が真剣に向き合うべきである。