[LGBT法案] 差別解消の実効性こそ
( 5/27 付 )

 自民党の性的指向・性自認に関する特命委員会などは、与野党の実務者協議で合意したLGBTなど性的少数者への理解増進を図る法案を了承した。
 だが、特命委では保守派から異論が噴出した。性的少数者への差別意識とも受け取れる発言が自民議員から相次いでいるのも理解に苦しむ。
 当事者らは雇用や教育などの現場で差別を受けている現状を訴えている。そうした声に耳を傾け、差別解消へ実効性ある法を目指すべきである。
 法案を巡っては、理解増進に重点を置く自民と、差別解消を盛り込むべきだとする立憲民主党の立場に開きがあったが、目的と基本理念に「差別は許されない」との文言を追加することで折り合った。
 合意した要綱案は「性的指向と性自認の多様性を受け入れる精神の涵養(かんよう)と寛容な社会の実現」を強調している。国や地方自治体の努力義務として、LGBTなどへの国民の理解を増進する施策の実施を定めた。
 五輪憲章は「性的指向による差別」を禁じている。自民としては東京五輪・パラリンピック前に成立させたいに違いない。しかし、党内は意見が対立しており曲折が予想される。
 特命委では与野党合意に至った点を評価する賛成派に対し、保守派を中心とした反対派は「行き過ぎた運動に発展する」「差別を訴える訴訟が増える」と法運用上の懸念を指摘した。反対派は国会での法案審議を尽くすことなどを条件に受け入れただけに、今後も抵抗は必至だろう。
 性的少数者を巡る自民議員のさまざまな発言には耳を疑う。簗和生元国土交通政務官は党会合で「生物学上、種の保存に背く」といった趣旨の発言をした。山谷えり子元拉致問題担当相も別の党会合で「ばかげたことがいろいろ起きている」と述べた。
 自民内には「伝統的家族観」を強硬に主張する保守派も多い。同性婚容認につながるとの警戒感が根強いことを反映した発言ではないか。
 札幌地裁は3月、国が同性婚を認めていないのは憲法14条が定める法の下の平等に反し「違憲」との判断を示した。多様化する家族の形を踏まえた判決と言える。
 自民議員の発言を受けて、支援団体で構成する「LGBT法連合会」は「当事者ばかりでなく、その家族や友人など関係する人々も傷つけ、看過できない」と声明を発表した。同会は2015年に独自の法律案を公表し、「相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現」を掲げている。
 生きづらさを感じている人がいれば、その解決を図る政策を立案し、国民に範を示すのが国会議員の務めだろう。個人の尊厳を第一に、国会での議論を深めるよう求めたい。