[所有者不明土地] 改正法の検証重ねたい
( 5/28 付 )

 持ち主が分からない土地の解消に向けた民法や不動産登記法の改正法などが今国会で成立した。
 相続登記の義務化や、一定の要件を満たせば相続した土地の所有権を手放せる制度の導入が柱である。
 ただ、所有者不明がどれほど解消されるかは不透明だ。今後は団塊の世代からの相続が増加することも予想される。改正法の効果を検証しながら、必要なら追加の対策を講じるべきである。
 所有者が亡くなった後に相続登記されず持ち主が分からない宅地、農地、山林などは、都市部への人口流出に伴い増えている。
 民間の有識者研究会は2016年時点で九州の面積を上回る約410万ヘクタールが所有者不明と推計。また、鹿児島県内の農地は全体の33%が未登記かその恐れがあり、都道府県別では4番目の高さだったことが、農林水産省の同年調査で明らかになっている。
 土地を引き継いだ人が、税負担や土地管理の手間を避けるため、登記を敬遠している事例が多いとされる。
 こういった土地が増えれば、地域づくりや公共事業に支障を及ぼす。荒れた山は崩れる危険性が指摘され、防災上も問題だ。東日本大震災の被災地では各地で集落の高台移転が計画されたが、土地所有者が分からず用地交渉に膨大な時間を要した。
 改正法では、相続人が不動産の取得を知ってから3年以内に所有権移転の登記を義務付けた。正当な理由がなく怠れば10万円以下の過料を科す。
 ただ、義務付けは登記促進が理由であり、過料をすぐに求めるような運用は避けるべきだろう。死亡届が出された時、相続登記の義務付けを伝えるなど周知徹底にまず力を入れたい。
 これまでは相続割合などが決まるまで登記できなかったのに対し、法務局に自分が法定相続人であると戸籍などを示し申し出る相続人申告登記も新設する。登記しやすくなり、登記簿を見れば申告相続人の住所、氏名が分かるようになるなど有効な対策と言えるだろう。
 相続した土地を手放し、国の管理に委ねることを可能にする相続土地国庫帰属法も成立した。
 だが、「権利関係の争いがない」などの要件を満たし、10年分の管理費相当額を納めるという仕組みはハードルが少し高くはないか。
 一方、所有者はいても遠隔地に住んでいるため、放置された農地や森林、古い家屋が朽ちるまま残された宅地、木や草が生えっぱなしの空き地といった管理不全土地も各地にあるだろう。
 次は、自治体が所有者に適正管理を強く求められる仕組みや、市民農園などに活用し管理は住民に任せるなど、周辺に住む人たちの側に立った対策にも早急に取り組まなければならない。