[大規模接種] 円滑実施へ対策万全に
( 6/1 付 )

 鹿児島県が、高齢者に新型コロナウイルスワクチンを接種する大規模会場を鹿児島市と鹿屋市に開設する。
 政府が目指す7月中の接種完了に向けて両市で1万8000人程度の受け入れを想定する。1回目の接種は6月下旬、2回目は7月中旬の開始を予定している。
 ワクチンはコロナ収束の鍵を握る。大規模接種の動きは、他の都道府県や政令指定都市にも広がっている。希望者への接種が円滑に進むよう、鹿児島県も万全の体制を整えなければならない。
 県内の全43市町村は7月末までに高齢者への接種を終える見通しを示す。県が大規模接種に取り組むのは、市町村への希望者が殺到して接種が遅れるのを避けるためだ。
 市町村と県の二つのルートが順調に運用されれば、接種の迅速化が図られよう。しかし一方で、居住地での予約をキャンセルしないまま大規模会場での接種を予約し、ワクチンを無駄にしてしまう二重予約が懸念されている。
 二重予約は東京、大阪で自衛隊が運営している大規模接種センターでも問題になっている。県は独自の予約方式を設けて防ぐ考えだ。
 また、市町村が先に接種を開始したワクチンは米ファイザー製だが、県は大規模会場で原則米モデルナ製を使う。1回目と2回目で別のワクチンを打つと短期的な副反応が多いとされる。有効な予約方式を構築するのはもちろん、高齢者への注意喚起を重ねることが不可欠だろう。
 具体的な予約方法はまだ公表されていないが、インターネット上で受け付ける場合は、不慣れな人にも配慮したい。機器の操作を手伝うなど、きめ細かいサポートが欠かせない。
 会場候補地には、鹿児島市のかごしま県民交流センター、鹿屋市の鹿屋体育大学などが挙がる。選定に当たっては車を持たない人や足の不自由な人の行き来のしやすさも考慮したい。蒸し暑く気温が上がる時季だけに、熱中症対策も重要だ。
 県は接種の担い手として、筋肉注射の経験のある鹿児島大の歯科医師ら約200人、資格を持ち離職中の潜在看護師約150人の協力を取り付けているという。手を挙げた医師らに負担が過度に集中しないよう、配置を考えていく必要がある。
 世界的に見て日本は接種の遅れが際立つ。先月中旬までに少なくとも1回ワクチンを投与された人の割合は約3%で、世界平均の約9%に及ばないという調査結果もある。
 政府は大規模接種に動きだした地方との連携をさらに強化し、この難局を乗り切らなければならない。