[大坂会見拒否] 主催者と早期に対話を
( 6/2 付 )

 女子テニスの大坂なおみ選手が全仏オープンのシングルス2回戦を棄権すると自身のツイッターで表明した。同時に「長い間、うつに悩まされてきた」ことも明らかにした。
 大坂選手は1回戦で勝利後、コート上でのインタビューには応じたが、義務付けられている記者会見を拒否、四大大会の主催者から大会追放の厳罰もあり得ると警告を受けていた。
 棄権は残念だが、アスリートの心の健康問題に一石を投じたのは確かだ。主催者と早期に対話の場を設けて善後策を見いだしてほしい。
 大坂選手は2018年の全米で日本人選手初の四大大会シングルスを制し、スター選手に上り詰めた。昨年の全米オープンでは試合のたびに、人種差別への抗議として黒人被害者の名が入ったマスクを着用し注目を集めた。
 発信力が高く、会見でもユーモアを交えて受け答えする姿を見せていた。それだけに今回の大会前、「アスリートの心の健康状態が無視されている」として会見に応じない意向を一方的に表明したのは驚きだった。
 大会側は事前に、会見出席は全選手に平等に適用されるルールだと伝え、問題解決へ対話を提案したが、受け入れられなかったという。
 大坂選手はファッションやビジネスにも手を広げ、テニス以外でのインタビューに応じることも多い。その中で「疑念を抱くような質問も受けた」とツイッターで訴えている。
 メディア対応がかなり重荷になっていたのだろう。特に試合に負けた後の会見は負担が大きかったようだ。
 テニス界で男子に比べて低かった女子の人気は、メディアを活用して高めてきた歴史がある。競技の発展やファン拡大に大きく貢献するメディアの会見拒否を認めることは不公平になるというのが主催者側の見解である。
 一方、大坂選手は棄権を表明したツイッターで「ルールの一部がかなり時代遅れだと感じたため、それを強調したかった」と会見出席の義務に異論を唱えた。両者が歩み寄りながら解決の糸口を探るべきだろう。
 プロスポーツ選手として、どこまでが果たすべき役割なのか。大会のルールで決められている以上、メディア対応は「仕事の一部」と捉える選手は少なくない。
 一方、トップ選手でもメンタル面の問題を抱えている事例は多いとされる。大坂選手の訴えは、このままでは自分や仲間の健康が損なわれるという危機感の表れに違いない。
 主催者側にとって、トップ選手が大会の運営に反発し、棄権するような事態は好ましくないだろう。テニスの人気にも水を差しかねない。選手のメンタル面の支援策など大坂選手の悲痛な訴えに応えてもらいたい。