[菅原氏議員辞職] 説明責任果たすべきだ
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 菅原一秀前経済産業相が選挙区内の行事で祝儀や会費の名目で現金を配ったとの疑惑など「政治とカネ」を巡り自民党を離党、衆院議員を辞職した。
 一昨年、経産相として初入閣した直後に秘書が地元有権者に香典を渡したと報道され、わずか1カ月半で辞任。東京地検特捜部は昨年6月に起訴猶予としたが、検察審査会は今年2月、「起訴相当」と議決、特捜部が任意で事情聴取するなど再捜査し、現金配布の疑いも新たに浮上した。
 特捜部は近く公選法違反の罪で略式起訴する方向。罰金以上の刑が確定すれば失職するため、辞職を決めたようだ。とはいえ、菅原氏は会見も開いていない。まずは、自らの行為について説明責任を果たすべきだ。
 菅原氏は2017年ごろから選挙区内の有権者に秘書を通じ、枕花や香典を渡していた。特捜部は事実を認定した上で、経産相を辞任して謝罪したことなどを考慮して不起訴とした。
 しかし、検察審査会は「個人的関係だけではなく、将来における選挙も念頭に置いたと考えるのが自然」として起訴相当と判断した。
 公選法は政治家が選挙区内で金品を提供する行為を禁じている。新たな疑惑も含めて、事実であれば順法意識の欠如にあきれるばかりだ。
 菅原氏だけの問題ではない。自民党では「政治とカネ」の疑惑が相次いでいる。参院選を舞台にした河井克行元法相夫妻の巨額買収事件や、秋元司衆院議員のカジノ汚職事件、吉川貴盛元農相の鶏卵汚職事件と後を絶たない。河井夫妻と吉川氏は議員を辞職し、秋元議員は離党した。
 一方、党として全容解明に積極的に動いているとは言い難い。菅原氏の問題でも、東京地検が略式起訴に踏み切る観測が広がると、党内に「辞職は不可避」の声が上がった。
 25日告示の東京都議選や秋までに行われる衆院選を見越して、党との関係を切り、批判を回避しようという思惑が透ける。
 議員辞職などに伴う衆参3選挙で自民党は「全敗」した。菅義偉首相は「正すべき点はしっかり正したい」と語ったが具体的行動は見えない。
 党内で相次ぐ不祥事の影響を聞かれた二階俊博幹事長は「政治とカネはずいぶんきれいになってきている。マスコミも一般国民も評価していただいてしかるべきだ」と述べたが、同意する国民がどれほどいるだろうか。
 河井元法相も菅原氏も首相に近い存在であり、両氏とも官房長官時代の菅氏が入閣を強く後押しした。吉川氏は昨年の総裁選で菅陣営の選対事務局長を務めている。
 首相には政治を巡る不信の連鎖を断つ責任がある。先頭に立って、一連の疑惑を検証しなければならない。