[男性版産休] 職場で取得の後押しを
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 父親の育児休業取得や子育てへの参加を促す改正育児・介護休業法が衆院本会議で可決、成立した。
 子どもが生まれて8週間以内に夫が計4週分の休みを取れる「出生時育児休業(男性版産休)」を新設。企業に対して、子どもが生まれる従業員一人一人に育休の取得を働き掛けるよう義務付けることなどが柱だ。夫婦どちらにも休みを取りやすい環境を整備し、少子化に歯止めをかける狙いがある。
 選択肢が増えることで状況に応じた休み方を選べる点は評価できる。実効性のある制度にするため、企業は取得を後押しする職場の雰囲気づくりに取り組まなければならない。
 男性版産休は出産した妻の産休期間に合わせて夫が休みを取る制度で、現在も取得できる「パパ休暇」を発展させた。来年10月開始を想定している。
 計4週分の休みは2回まで分割でき、申請は通常の1カ月前より短い2週間前でいい。育児休業給付金や社会保険料の免除で、これまで同様、最大で賃金の実質8割が保障される。
 出産後の女性は産後うつの発症リスクが高く、慣れない子育てで心身の負担も大きい。夫の集中的なサポートで精神面のケアなども期待されよう。
 従業員への取得の働き掛けは来年4月に現在の努力義務から引き上げられる。男女問わず、子どもが生まれる場合に、企業は利用できる育休制度を説明して取得するかどうかを本人に確認しなければならない。企業が従わない場合、国は社名を公表できる。
 法改正の背景には、男性の育休取得が進まないことがある。2019年度の取得率は女性の83.0%に対して男性は7.48%。政府目標の25年30%には遠い状況だ。
 厚生労働省の調査によると、男性正社員が育休を取らなかった理由として「職場の取りにくい雰囲気」や「上司や職場の理解がない」などが挙がった。育休を利用しようとした男性の4人に1人が人事面での不利益をほのめかすなどの嫌がらせを経験しているというデータもある。
 制度を生かすには企業側の変化が不可欠といえよう。国は職場での研修などを働き掛ける必要がある。
 子育てのしやすさは、学生らが就職先を選ぶ際の重要な動機にもなる。優秀な人材を確保するためにも、企業は取得向上に取り組んでもらいたい。
 今回の改正で、原則1回しか取れない通常の育休を夫婦がそれぞれ2回まで分割取得できるようになる。男性版産休を合わせると、夫は最大4回まで分割が可能だ。非正規労働者の取得条件も緩和される。
 制度が複雑になり、代替要員の確保などに悩む中小企業にとっては負担が増えることも予想されよう。手続きの簡素化も検討課題である。