[総務省接待問題] 業界となれ合い排除を
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 総務省の第三者委員会は、東北新社の外資規制違反問題に関する報告書を公表した。接待との関連は確認できなかったとしつつ、違反を黙認したことは「行政をゆがめた」と批判した。
 一連の接待について調査していた同省は、法令違反の接待を受けていたとして職員32人を処分した。2月の発表分と合わせて100件を超えており、通信放送行政の接待漬けを改めて裏付けた格好だ。
 事業者が何の見返りも期待せずに、多額の経費をかけて接待するなど常識的にはあり得ない。総務省は所管業界とのなれ合いを排し、省挙げて再発防止に取り組まなければならない。
 東北新社の外資規制違反を巡っては、同社側は2017年8月時点で総務省に報告していたと説明。総務省は否定し、食い違っていた。
 第三者委は、総務省の当時の担当課長が東北新社の外資規制違反を認識しながら衛星放送の事業認定を取り消さず、同社から子会社に事業を移して違反を解消することを黙認した、と判断した。
 この間、担当課長らは同社幹部による接待を受けていた。ただ、担当課長らは現時点でも「東北新社から外資規制違反について聞いたことはない」と報告を受けた事実を否定している。
 報告書は、東北新社の総務省接待について「正当化される余地は全くない」と批判しながらも、同省が事業の認定を取り消さなかった対応との関連性は確認できなかったと結論付けた。
 しかし、法令違反の接待の件数は、NTTグループと共に東北新社が突出している。官僚も、下心を知りながら応じていたと思われても仕方あるまい。
 東北新社による接待の多くには、菅義偉首相が総務相時代に秘書官を務めた長男が参加している。菅氏の威光を背にした会食が、総務省の対応に影響しなかったのか。真相が明らかになったとは言えない。第三者委はさらに調査を尽くし、国会も追及すべきだ。
 接待問題を巡って大がかりな調査に至ったのは、東北新社による違法接待発覚後の内部調査で「他の違法接待はない」と結論付けた直後に、NTTによる違法接待が発覚し、国会で厳しく批判されたからである。
 今回、通信放送担当の職員ら約170人を調査、合法的なものも含め計約1500件の会食が申告され、約450件は相手が通信放送事業者だった。
 国家公務員倫理法などは、公務員は「国民全体の奉仕者」であり、利害関係者から接待を受けるなど疑惑や不信を招くような行為をしてはならない、と明記している。
 総務省は原点に返るのはもちろん、5年前から続いた東北新社の接待を見過ごしてきた歴代総務相も責任を問われなければならない。