[骨太方針案] 財政立て直しの道筋を
( 6/8 付 )

 政府は今後の予算編成や政策の指針となる「骨太方針」の骨子案を経済財政諮問会議で示した。近く最終案をまとめ、閣議決定する。
 新型コロナウイルス感染症の克服と経済活動の両立を柱にした内容である。秋までに実施される総選挙を念頭に、子育て関連や賃上げを通じた地方経済の底上げなども盛り込んだ。
 一方、コロナ対策の支出で国の財政状況は極めて悪化している。財政の健全度を示す基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化は明記する方向だが、財政をどう立て直していくのか、道筋を明確にすべきである。
 菅義偉首相は会合で、コロナ対策を最優先するとした上で、四つの重点課題を挙げた。
 一つは地方創生である。観光・インバウンド(訪日客)を再生し、地方企業にも最低賃金の引き上げなど賃上げを求める。都市部から地方への人の流れをつくり、活性化につなげる契機にしたいところだろう。
 だが、賃上げの余裕のない中小企業は少なくない。特にコロナ禍の影響が大きい外食や宿泊などサービス業は、コロナ収束後を見越し、雇用維持などへの支援も欠かせない。
 子育て関連では省庁をまたぐ施策を一本化する「こども庁」創設が焦点だ。「子どもを産み育てやすい社会の実現」へ迅速な政策決定が期待されるが、対象年齢やテーマの振り分けなど自民党内でも意見が割れ、課題は多い。
 脱炭素化や、二酸化炭素(CO2)に課金して排出削減を促す「カーボンプライシング」の活用、再生可能エネルギーの拡大でグリーン社会の実現を掲げる。官民挙げたデジタル化の加速も菅政権の看板政策である。
 一方、コロナ対策で国の歳出は大きく膨らみ、税収だけでは賄えず、多額の国債発行で穴埋めしている。国と地方の債務残高は1200兆円を突破、主要国で最悪の財政状況にある。2025年度としてきたプライマリーバランス黒字化の目標時期も示し、歳出抑制と財源確保に努めることが必要だ。
 バイデン米大統領は4月、巨額のインフラ投資の財源確保を主目的に連邦法人税率の引き上げを表明。英国は3月に大企業向けの法人税率を引き上げる方針を発表した。こうした動きは各国とも巨額のコロナ対策費で財政が悪化しているからにほかならない。
 日本では安倍前政権下で企業が優遇され、法人税減税が加速した。一方で企業は賃上げや設備投資より内部留保に利益を回し、19年度には475兆円と8年連続で最高を更新した。財務省などが3月に発表した調査でも内部留保を重視する企業が増えている。
 コロナ下でも高い利益を上げている企業は多い。企業に対する適切な税負担増を検討すべき時期である。