[ヤングケアラー] 支援策の実行急ぎたい
( 6/11 付 )

 大人に代わって家族の世話や介護を担う18歳未満の子ども「ヤングケアラー」について、厚生労働省と文部科学省のプロジェクトチーム(PT)が支援策の報告書をまとめた。月内に閣議決定する経済財政運営の指針「骨太の方針」に反映させ、支援を明記する。
 報告書には、家事などのサポート体制の整備や相談窓口の明確化、当事者の早期発見のための自治体の実態調査などが盛り込まれた。
 両省が4月に公表した初の実態調査では「世話をしている家族がいる」と答えた中学生が5.7%、高校生で4.1%に上った。重い負担から、学力低下や孤立などの影響が懸念されている。支援策の具体的な利用法などを示し、一日も早く実行に移すべきだ。
 実態調査では、世話をする相手はきょうだいが最も多く、中学生61.8%、高校生44.3%だった。PTは、従来の保育サービスに加えて、新たに家事や子育てを支援する制度が必要と判断した。
 父母や祖父母の世話をする中高生も多く、報告書は地方自治体の教育・福祉・介護担当者らが合同で研修を実施することを求めている。どうすれば子どもを「介護力」に扱わず、家庭全体を支える公的サービスにつなげられるか、検討してもらいたい。
 存在が見えにくく、認知度が低いことも特徴だ。調査では生徒全体の8割が「ヤングケアラーという言葉を聞いたことがない」と回答。家族の世話をする中高生の6割超が誰にも相談したことがなかった。
 報告書は都道府県や政令市に、現状を把握するための実態調査を促す。また、元当事者らが相談対応に当たる「ピアサポート」事業や、子どもたちがアクセスしやすい会員制交流サイト(SNS)を活用した悩み相談体制も支援する。
 子どもたちからは「自分の今の状況について話を聞いてほしい」「進路や就職など将来の相談に乗って」などの声が上がっている。経験者であれば話しやすく、困っている子どもたちの助けになるに違いない。
 合わせて、どこに相談すればいいかをわかりやすく明示することも必要だ。教育現場とも連携し、子どもたちに届く発信に努めたい。
 当事者を発見する鍵となるのが、学校現場での気付きだ。欠席日数や学習状況の変化から教員が察知し、家庭環境を把握することが重要だろう。
 一方、家庭の問題にどこまで踏む込むか、どんな助言をすればいいかで悩む教員もいる。相談に適切に対処するための研修やスクールカウンセラーなどの活用が欠かせない。
 周囲に知られたくないと口をつぐむ子どももいる。つらさを受け止め、きめ細かい支援の仕組みを整えたい。