[G7と中国] 対立解く対話こそ必要
( 6/15 付 )

 英国で開かれていた先進7カ国首脳会議(G7サミット)は首脳声明を採択し閉幕。新型コロナウイルス感染症の終息へ一致して取り組むことなどを確認した。
 G7サミットは近年、米国第一主義のトランプ前大統領に歩調を乱され、機能不全に陥っていた。米大統領が国際協調を重視するバイデン氏に代わり、民主主義の価値観を共有する先進国が再結束できた意義は大きい。
 一方、軍事、経済両面で台頭する中国への対抗姿勢を鮮明にした。だが、地球規模で取り組まなければならない気候変動問題でも排除できない存在である。対立より対話の道を探り、国際規範を中国に守らせる努力こそ求められる。
 首脳声明は、中国の統一圧力で緊張が高まる中、「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し、両岸問題の平和的解決を促す」と初めて台湾情勢を盛り込んだ。
 中国の東・南シナ海への進出にも「現状を変え、緊張を高めるあらゆる一方的な試みに強く反対する」とけん制。新疆ウイグル自治区での人権や基本的自由とともに、香港の高度な自治を尊重することも求めた。
 新型コロナ対応では、パンデミック(世界的大流行)終息の目標を2022年に設定した。途上国を中心に同年にかけてワクチン10億回分に相当する支援を進める。こうした取り組みは、ワクチンを他国に提供して影響力を強める中国やロシアを意識したものだ。
 中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に対抗し、発展途上国のインフラ整備を支援する新構想でも合意した。一帯一路は途上国の過剰な債務負担などが問題になっている。コロナ禍に苦しむ途上国の経済回復に必要な支援の仕組みを構築しなければならない。
 気候変動問題では、排出抑制策が講じられていない海外の石炭火力発電に政府が行う新規支援を年内に停止すると明確にした。ただ、脱炭素社会の実現には、世界最大の温室効果ガス排出国である中国の協力が不可欠となる。
 菅義偉首相は北朝鮮による日本人拉致問題への理解と協力を求め、賛同を得た。被害者や家族の高齢化が進んでいる。G7の支持もてこに、帰国実現へ手を尽くさなければならない。
 声明は東京五輪・パラリンピック開催の支持も打ち出した。ただ、ワクチン接種が国内でも加速しているとはいえ、開催に伴うリスクを懸念する声は少なくない。政府は専門家の意見も真摯(しんし)に受け止め、慎重に検討すべきだ。
 日本は日米同盟を安全保障の基軸とする一方、最大の貿易相手国である中国との関係悪化は経済への影響が懸念される。米中対立のはざまに立たされる日本には、地域の安定に向け双方に協調を促す外交戦略が求められる。