[学校水害対策] 移転困難、備えが急務だ
( 6/26 付 )

 公立学校の約3割が、豪雨により浸水や土砂災害の恐れがある土地に立地していることが明らかになった。
 広い敷地が必要な学校が、同じ校区内に安全な場所を見つけて移転するのは困難だ。
 豪雨災害は全国で毎年のように発生している。実効性のある避難計画や訓練を行い、建物の浸水防止策を進めるなどソフト、ハードの両面から備えを急がなければならない。
 調査は小中高校や幼稚園などの全公立学校3万7374校を対象に、文部科学省が初めて実施した。昨年10月時点で、浸水想定区域や土砂災害警戒区域に立地しているのは1万1175校あった。
 鹿児島県内も885校のうち浸水区域に67校、土砂災害区域に209校あり、このうち14校は両区域に該当する場所に立地している。改正水防法などで義務付けられた避難確保計画を作成したのは浸水区域で91.0%、土砂災害区域は93.3%。避難訓練の実施はそれぞれ88.1%、90.9%だった。
 避難計画作成や訓練を行っていない学校が県内にまだあるのは心配だ。関係機関は未着手の学校に取り組みを急ぐよう促すべきである。
 計画を作成済みであっても、子どもの年齢や人数、地域の現状に応じた計画になっているかどうか、定期的に点検し更新することも不可欠だろう。
 水害は雨の降り始めから短時間で起きる可能性がある。想定される浸水などの程度を知っておけば、校舎から外に出ないで上の階に逃げる垂直避難が可能かどうかの判断につながる。
 台風や大雨など気象状況によっては休校にしたり、在校中の場合は児童生徒を下校させなかったりなど学校ごとに臨機応変な対応が欠かせない。
 通学路に危険が潜んでいることもあるだろう。日頃から地域や家庭、学校、自治体が連携して通学路のリスクも点検、把握しておくことが必要だ。
 普段の備えや適切な避難行動については授業で取り上げるなど、防災教育も充実してほしい。異動の多い教職員と、自治体の防災担当や消防などとの情報共有も求められる。
 浸水区域についてはハード面の対策も調査した。義務ではないものの、県内の学校では体育館の止水板設置などを行ったのは26.8%、電気設備の浸水防止対策は28.3%である。
 文科省は「学校の耐震工事はほぼ完了したため、今後は水害への備えを充実させる必要がある」とし、水害対策工事に関連する補助金の拡充に向けて政府内で協議を進める方針だ。
 学校が被災すれば、校舎自体が使えなくなる恐れも出てくる。文科省や自治体は、地域の安全性向上のためにも学校の防災対策の取り組みが速やかに進むよう支援を急ぐべきである。