[県人口減加速] 地域の活路開く知恵を
( 6/29 付 )

 鹿児島県が公表した2020年国勢調査速報値によると、県の総人口は158万9000人余りで、5年前の前回調査から約5万9000人減った。160万人を割り込むのは戦後初である。
 日本の総人口も初めて減少に転じた前回からさらに約86万8000人減り、1億2622万人余りとなった。減少率は0.7%だった。
 県内の減少率は前回を上回る3.6%で全国を大幅に超えている。人口減少の加速は顕著だが、地域の活力をどう引き出せばいいのか正念場である。実効性のある対策に官民一体で取り組み、活路を見いだしたい。
 国勢調査による県の総人口は1955(昭和30)年の約204万人がピーク。その後、増減を繰り返し、90(平成2)年以降は減少が続く。
 今回は全43市町村のうち、41市町村で減少した。減少率は南大隅町の14.1%が最も高く、5市町村で10%を超えた。増えたのは、商業施設の進出や高速道スマートインターチェンジの整備などで利便性が増す姶良市と、奄美空港へ近く移住者が多い龍郷町の2市町にとどまった。
 気掛かりなのは、人口に占める市部の割合が増したことだ。県全体の人口が減る中、市部への“ミニ一極集中”が進めば、郡部の衰退は避けられない。魅力をどう高め発信していけばいいのか各地域が知恵を絞る必要がある。
 例えば、塩田県政が掲げる「稼ぐ力」の向上が実現すれば、大きな魅力となり得よう。県には基幹産業の農林水産業と観光関連産業、地域の中小企業の潜在力に磨きをかけてもらいたい。
 コロナ禍で人口が密集する大都市のリスクが顕在化し、地方が見直されている。企業のテレワークの受け皿が整備され、子育て支援が充実すれば鹿児島移住の呼び水になろう。
 政府は看板政策「地方創生」の第1期(15~19年度)で地方移住などを後押ししてきた。しかし、人の流れを変えられず、20年までに東京圏と地方の転出入を均衡させる目標達成も24年度に先送りした。コロナ禍で出生数の落ち込みも予想され、先行きは厳しい。
 人口減少対策には、地方企業を税制優遇などで育て地域経済の発展を図ることこそ有効とする識者の指摘もある。政府は移住への補助金といった従来型の対策を見直し、新たな発想で政策を再構築すべきだ。
 また、国勢調査速報値から南日本新聞が試算したところ、鹿児島県議会(21選挙区、定数51)の議員1人当たりの人口格差が最大2.11倍あった。憲法違反との指摘がある2倍を超す選挙区は前回の2から3に増えた。
 格差を解消するため、どこをどのように見直すか。県議会は23年春の改選に向け、県民が納得する結論を導き出すことが求められる。