[中国共産党100年] 言論の統制は許せない
( 6/30 付 )

 中国共産党はあす、党創建100年の記念日を迎える。
 党の強いリーダーシップで経済大国にのし上がった。一方で、1989年6月の天安門事件で民主化運動を弾圧、近年は香港で言論や政治活動の締め付けを強化している。
 新疆ウイグル自治区の少数民族ウイグル族らに対する人権侵害への非難も高まっている。党指導部が真の大国を目指すのなら、国際社会の批判を謙虚に受け止め、民主化要求や人権問題に真摯(しんし)に向き合うべきである。
 中国共産党は党創建100年の記念日を前に記者会見を開き、「中国の悲惨な運命を変え、国際的地位を高めた」と総括。国民の生活水準向上や発展途上国への支援をアピールした。
 78年に改革・開放政策を打ち出し、2001年には世界貿易機関(WTO)に加盟、貿易が拡大した。10年には国内総生産(GDP)が日本を抜き、米国に次ぐ世界第2位に浮上した。とはいえ、少子高齢化や米国との対立激化など課題は少なくない。
 香港では統制強化が急速に進む。19年の大規模な民主化要求・反中デモをきっかけに中国政府は昨年6月、香港国家安全維持法(国安法)を制定、民主派の摘発に乗り出した。これまでの逮捕者は著名な運動家である周庭氏ら110人以上に上る。
 習近平国家主席の強硬策はメディアつぶしにも及んだ。香港警察は中国に批判的な民主派系の香港紙、蘋果日報(リンゴ日報)の幹部らを国安法違反容疑などで逮捕、資産を凍結し廃刊に追い込んだ。自由と民主主義を切望する香港住民に対する露骨な弾圧であり、到底容認できない。
 民主派寄りの論調で知られるインターネットメディアも蘋果日報同様に標的にされるのを恐れ、論評記事の大部分を削除した。高校教科書から天安門事件や14年の民主化要求デモ「雨傘運動」を削除する出版社も出始めている。さらに、香港立法会(議会)で今年5月に可決された選挙制度変更で、民主派は事実上立候補できなくなった。
 1997年に香港が英国から返還された際、中国は言論や集会の自由など高度な自治を認めた「一国二制度」を50年間維持すると国際公約した。その約束をほごにするのは許されない。
 加藤勝信官房長官は蘋果日報の廃刊について「言論や報道の自由を大きく後退させる」と懸念を表明した。こうした西側諸国の反応に中国は「内政干渉だ」との立場を崩さない。
 中国が民主派封じ込めと政治の中国化に躍起になるのは、香港独立や中国政権の転覆を狙う米国など西側諸国の陰謀と決めつけているからだ。こうした事態の打開には価値観を共有する日米欧が中国に対話を促し、一国二制度の回復を強く求めなければならない。