[五輪とコロナ] 実効性ある水際対策を
( 7/1 付 )

 東京五輪の開幕まで約3週間。新型コロナウイルス感染拡大などを考慮し、全国で事前キャンプの中止が相次いだが、受け入れを決めた自治体では各国選手団の合宿が始まっている。
 大阪府泉佐野市では合宿のために来日したウガンダ選手団2人のコロナ感染が判明。入国直後の濃厚接触者の判定では混乱も生じた。
 大会参加選手は約1万1000人で、間もなく入国ラッシュとなる。政府が「安全安心の大会」を目指すと言うのであれば、より実効性のある水際対策を講じなければならない。
 ウガンダ選手団9人は成田空港の検疫で1人が陽性となり隔離された。だが、残る8人はそのままバスで泉佐野市に移動。入国から3日後に全員が濃厚接触者と判定され、もう1人の陽性が判明した。
 濃厚接触者の判定は自治体側が行うことになっていたが、泉佐野市の保健所は「検疫が判断すると思っていた」という。関係する組織でルールが共有されていたとは言い難い。
 同じ便で共に過ごしていながら、空港で濃厚接触者の判定対象にならないシステムも疑問だ。受け入れ先で困惑と不安が広がったのは当然だろう。
 政府はきのう、ホストタウンの自治体に対し、新型コロナ対策の指針の改訂版を提示。空港検疫で選手団に陽性者が出た場合、直ちに濃厚接触の可能性がある人を特定して別のバスで移動させるなどの強化策が盛り込まれた。空港でウイルス侵入を食い止めるよう対策を徹底してほしい。
 指針では、合宿地で感染者が出た場合、検査での陰性や濃厚接触者でないことが分かるまで原則活動を停止するなど、統一的な基準を示した。受け入れ地域が混乱することのないよう、支援を急ぐべきだ。
 鹿児島県内でも薩摩川内市が男子バレーボール代表の2カ国、鹿児島市がラグビー7人制南アフリカ代表チームを受け入れる。滞在中のチームのサポートに加え、万一感染者が出たらどうするか、繰り返し確認が必要だ。
 ウガンダの選手団は全員がワクチンを2回接種し、出国前の検査で陰性証明を得ていた。それでも入国後にインドで確認された変異株「デルタ株」の陽性が分かった。自国で検査をしていても、万全ではないということだ。
 政府や大会組織委員会は、選手らが外部との接触を断つ「バブル」方式を採用している。多くの国際競技大会でも実践される感染防止の考え方だ。
 しかし、感染者が選手村など「バブル」の中に入ってしまえば一転してクラスター(感染者集団)化するリスクが高くなる。合宿地やバブル内での感染拡大で、五輪の盛り上がりは一気にしぼみかねない。関係機関には一層の緊張感を持った感染対策を望みたい。