[ウッドショック] 国産シェア拡大の好機
( 7/2 付 )

 木材が世界的に不足し、価格が高騰している。新型コロナウイルス感染拡大を機に米国で在宅勤務が広がり、金融緩和に伴う低金利と相まって、住宅ブームが起きたことに起因する。
 海外に木材の6割を依存する日本は調達が難しくなっており、春ごろから深刻さが増している。業界はかつての石油危機になぞらえ、「ウッドショック」と呼び、混乱が広がる。
 あおりを受けて国産材の引き合いが強まっている。相場の行方は不透明だが、国産材のシェアを伸ばす好機にほかならない。衰退する林業の再興につなげたい。
 米国の住宅着工戸数は昨年夏から急増した。木材の需要増に加え、巣ごもり消費の増大でコンテナが不足し、海上輸送運賃が値上げされた。北米の木材価格はコロナ前に比べ、2.5倍以上の高値が続く。
 日本にとって最大の輸入先である欧州が米国向けに注力する一方、コロナ禍からいち早く経済活動を再開した中国は世界各地から木材を買い集めている。争奪戦の様相を呈し、日本は「買い負け」をしているのが実情だ。
 輸入材の不足は国産材の相場にも影響している。鹿児島県内の指標となる隼人木材流通センター(霧島市)のスギ原木の平均価格は4月以降急騰している。3カ月で6割も値上がりし、製材業者からは悲鳴が上がる。
 事態打開に向けて国産材の増産を期待したいが、肝心の人手が不足している。1980年に14万6000人いた林業従事者は4万5000人(2015年)に減少した。高齢化が進み、増産しようにも対応できないのが現実だ。
 ウッドショックがあぶり出したのは脆弱(ぜいじゃく)な日本の林業の姿と言えよう。高度成長期に木材需要を国内だけで賄えず、安くで大量に確保できる輸入材に依存を続けてきた結果である。戦後に植林された人工林が利用期を迎え、木材自給率は上昇しているとはいえ、37.8%(19年)にとどまる。
 コロナ禍に端を発した輸入材の不足と高騰は政治的対立や投機マネーも絡み、先行きは見通せない。国際情勢に左右されない国産材の供給力、価格競争力の強化が欠かせない。
 日本は国土の3分の2を森林が占める。国産材の利用拡大で林業従事者の所得や労働環境を向上させ、担い手を増やしたい。伐採収入で再造林ができる林業経営が確立し、森林による温室効果ガスの吸収量が増えれば、排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の流れも加速しよう。
 政府は先月、新たな森林・林業基本計画を閣議決定した。非住宅分野での木材利用や輸出などを進め、30年の国産材の供給量を19年実績の約1.4倍に増やす目標を掲げた。実効性のある施策を求めたい。