[西日本豪雨3年] 高齢者を守るためには
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 河川の氾濫や土砂崩れで平成最悪の水害となった2018年7月の西日本豪雨から3年がたった。広島や岡山、愛媛を中心に、鹿児島を含む14府県で計303人が亡くなった。
 近年、災害弱者と言われる高齢者が風水害の犠牲になる例が目立つ。内閣府によると、西日本豪雨や19年の台風19号、昨年の7月豪雨などで死者・不明者の6~8割を高齢者が占める。
 国内で65歳以上の人がいる世帯は全体の約半数に上る。悲劇を繰り返さないために何が必要かを考え、一人でも多くの人を災害から守りたい。
 岡山県倉敷市真備町地区は川の堤防が決壊し広範囲が浸水、災害関連死を除き51人が亡くなった。うち約8割が70歳以上で、多くが住宅1階で見つかった。要支援や要介護の認定を受けていた人が少なくなく、急激な浸水でとっさの避難が困難だったとみられる。
 新型コロナウイルス感染拡大のため、災害時に避難所に行かず自宅にとどまる在宅避難が注目される。その際は上の階への「垂直避難」が有効とされるが、同地区で被災後の新築や新築予定の住宅の3割超が平屋という。
 脚が丈夫でなければ2階建ては諦めざるを得ないだろう。平屋に住む高齢者らを安全に避難させる態勢の整備が急務である。
 改正災害対策基本法は、手助けが必要な人ごとに避難ルートや避難先などを事前に決める「個別避難計画」作成を市区町村の努力義務としている。本紙が2~3月に実施したアンケートでは県内市町村の3割が計画を作成していなかった。
 計画を作成し、住民に周知するとともに訓練を重ねたい。行政の力だけでは限界があるだろう。住民との役割分担も明確にしておく必要がある。
 きのう真備町地区であった追悼式で、84歳の母親を亡くした遺族は「なぜあの時、避難するよう伝えなかったのか、後悔し続けている」と語った。
 テレビや自治体からの情報だけでは避難行動に結びつかないのが実情で、家族や親しい人からの電話や声かけが効果的とされる。国土交通省は「逃げて!」のひと言が避難を後押しするとしている。参考にしたい。
 高齢者施設も度々被害を受けている。1年前の九州豪雨では、氾濫した球磨川沿いにある特別養護老人ホームで2階への避難が間に合わなかった14人が犠牲になった。16年の台風では岩手県の高齢者施設に氾濫した川の水が侵入、入所者9人全員が亡くなった。
 大規模土石流が先日発生した静岡県熱海市の現場周辺は、市のハザードマップで土石流の可能性が高いと指摘されていた。施設の管理者が日頃からハザードマップなどを確認するとともに災害情報を的確に把握し、ためらわず避難させることが肝心である。