[ワクチン「不足」] 供給に全力、不安解消を
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 新型コロナウイルスのワクチン接種で、鹿児島県内の市町村のうち供給が足りているのは半数にとどまっていることが本紙の調査で分かった。
 国のワクチン供給が今月から減るためで、状況は全国と共通する。スピードを重視するあまり需要見通しを甘く見たことに加え、自治体や医療機関の一部に在庫が滞留し、計画通り地域に回っていないのも要因とされる。
 ワクチンの供給と配分調整に国は全力を挙げ、国民の不安を解消すべきである。
 調査は5、6日に実施した。ワクチン供給について「足りていない」と答えたのは指宿、日置、南さつま、志布志、喜界の5市町。鹿児島、霧島、中種子など6市町は「今後、不足する見込み」、鹿屋、薩摩川内、大崎などの10市町は「今後の状況が見通せない」とそれぞれ回答した。
 自治体には影響が出始めており、日置市は各医療機関に接種のスピードを落とすように伝えている。薩摩川内市は8月以降のワクチン供給が見通せないとして接種計画を見直し中だ。
 全国では予約受け付け停止が少なくとも67市区町に上っている。「(国の要請に沿って)スケジュールを作成したのに国にはしごを外された」といった困惑の声が自治体から上がるのは当然だ。
 国は、各自治体に高齢者分を大きく上回るワクチンを配送しており、まだ打っていない「市中在庫」が約4700万回分あると見込んでいる。
 問題はどこに在庫があるかはっきりせず、都道府県を通じた自治体間のワクチン融通も十分に機能しているとは言えない点にある。国は自治体と連携し、早急に在庫の実態を調べて配分先を再調整すべきである。
 企業、大学を対象とする職場接種も同様だ。本格開始の2日後には新規申請受け付け停止が発表された。
 大企業は早く申請して接種が進む一方、医療従事者確保など準備に時間を要した中小企業は手間やコストが無駄になった形だ。現場を混乱させる対応だと言わざるを得ない。
 ワクチン担当の河野太郎行政改革担当相は、従業員約千人の企業がワクチン5000回分を求めるなど過大な申請が散見されると述べた。ただ、家族や取引先、近隣住民まで接種対象を広げるよう求めたのは国である。
 国の方針はこれまでも接種の開始時期や日程をめぐって二転三転した。その都度、最前線で業務を担う市町村は振り回されてきた。
 こういった対応がさらに続けば現場は疲弊し、国民の不安や不信は増すばかりだ。国は危機管理に全力を挙げなければならない。