[女性・女系天皇] 課題先送りではないか
( 7/14 付 )

 安定的な皇位継承策を議論する有識者会議は、皇位継承資格を男系男子に限定する皇室典範の規定を尊重し、現在の皇位継承順位を維持する方針を確認した。女性・女系への資格拡大は見送った。
 今後は、皇族数確保のため、女性皇族が結婚後も皇室に残る「女性宮家」の創設と、旧宮家の男系男子子孫の養子縁組を解禁し、皇籍を取得する2案に絞って議論する。
 女性・女系天皇については専門家らの賛否が割れ、意見集約が難しいと判断したとみられる。だが、皇族数の確保だけでは将来的な皇位の安定継承にはつながらない。抜本的な課題解決を先送りにしたと言わざるを得ない。
 3月に発足した有識者会議は、皇室制度や歴史の専門家ら、計21人からヒアリングを続けてきた。
 聴取では、現在の皇位継承順位とは別に、制度的な観点から女性天皇を容認する意見が6割超だった。肯定論が広がる世論や憲法が定めた男女平等などが理由だ。一方、母方に天皇の血筋を引く女系天皇になると、賛成は5人と大きく減った。
 ヒアリングの中では、秋篠宮家の長女眞子さまとの婚約が延期になっている小室圭さんの母親を巡る金銭トラブルを念頭に、女系天皇反対論を展開した専門家もいた。個人的な問題があるなかで、制度について合意形成する困難さが浮き彫りとなった形だ。
 有識者会議は、深入りをしない道を選んだようだが、今年3~4月に共同通信社が行った世論調査では、女性天皇賛成が87%、女系天皇賛成が80%に上っている。問題を棚上げせず、国会主導で丁寧な議論を行うべきだ。
 会議では今後、女性皇族の皇籍維持と養子解禁の2案について法整備上の論点などを協議。両案を皇族数減少の対策として答申に盛り込む方向だ。
 皇室に残った女性皇族の子どもに継承資格を与えるかどうかは結論を出さず、養子縁組した男系男子子孫についても、本人やその子どもの継承権の有無は議論の対象外とした。これでは皇族数が増えても次世代の継承資格者が秋篠宮家の長男悠仁さま1人という現状は変わらない。
 旧宮家の皇籍復帰は、保守派が長く有力視してきた案だ。だが、終戦直後に皇籍を離れた11の旧宮家は、現在の国民にとってなじみが薄い。昨年の世論調査で皇籍復帰賛成は28%にとどまる。広く理解が得られるか疑問だ。
 政府は答申を踏まえて秋までには検討結果を国会に報告する。「静かな環境で論議すべき」だとして、衆院選前の意見集約は避ける方向だ。
 保守層に配慮し、選挙での争点化を避けるためだとしたら、無責任ではないか。安定的な制度の確立へ、政府には早急な取り組みを求めたい。