[熱海土石流] 盛り土に法規制が必要
( 7/18 付 )

 静岡県熱海市の大規模土石流は発生から2週間たった。これまでに13人が死亡。依然として15人が行方不明となっており捜索が続いている。
 起点となった土地の盛り土ではずさんな管理実態も明らかになってきた。業者は届け出より広い範囲に盛り土をした上に産業廃棄物も埋めており、県と市から行政指導を再三受けていた。
 土石流への影響を徹底的に調査するとともに、危険な場所での建設残土による盛り土を法的に規制し、安全確保を急ぐべきである。
 建設残土は都市の再開発やトンネル工事などから出た土砂のうち、再利用できなかったものを指す。
 宅地や農地を整備する目的で盛り土をする場合は、安全確保に関する法規制がある。場所や目的によって法律が異なるため、監督官庁は国土交通省、農林水産省、環境省など複数が関わっている。
 ただ、適用対象が限られており、法の網に掛からない場合、自治体は独自の条例で対応するしかないのが現状だ。しかも、法対象となっていない盛り土こそリスクが高い可能性がある。
 不適切に処理する悪質業者は後を絶たず、大雨などによる盛り土の崩落は各地で問題となっている。国交省によると、盛り土などに使った残土の崩落事故は2001~14年に全国で少なくとも14件発生した。
 盛り土は全国にどれだけあるかは分かっておらず、実態は不明だ。自治体が把握していない中小規模の盛り土も含めた点検が急務である。
 赤羽一嘉国交相は熱海の被災地を視察した後、盛り土の安全を確保するための規制の在り方を検討する考えを示したが、あまりに遅すぎると言わざるを得ない。
 近畿ブロック知事会は2年前に、地方自治法による条例罰則の上限が「2年以下の懲役または100万円以下の罰金等」と軽く、条例だけでは抑止力が不十分と指摘。(1)建設現場での土砂の発生から搬出、処分に至る流れを管理する仕組みを構築する(2)残土の処理を許可制にして安全確保のための処分基準を定める-など、法律による規制を求めていた。
 一度に降る雨量は全国的に増え、水害や土砂災害の危険性は増している。盛り土対策は自治体任せでは限界があろう。実効性のある一元的な法整備が必要である。
 熱海の被災地では500人を超える住民が市内のホテルに避難しており、生活再建への見通しは立っていない。
 気温の高い日が続き、暑さ対策も課題となっている。断水が続く住民から夏本番を前に不安の声が漏れ、衛生環境や体調の悪化が心配だ。
 行方不明者の捜索と併せ、被災者の生活支援を急がなければならない。