[G20法人税合意] 各国の足並みそろうか
( 7/23 付 )

 20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は、各国共通の最低法人税率15%以上と、米巨大ITなどを念頭にした「デジタル課税」の2023年導入で一致した。
 法人税率の引き下げ競争に歯止めをかけ、巨大IT企業の税逃れを防ぐことが目的だ。各国の協調で歴史的な合意に踏み出したことは評価できる。
 実効性を高めるには多くの参加が必要だが、低税率を採用し、賛否を留保する国もある。幅広い国が足並みをそろえられるかが課題だ。
 法人税は1980年代以降、企業誘致を掲げた各国が引き下げを競ってきた。だが、賃金上昇や設備投資への波及効果は限定的だったとの見方が強い。また、近年、グーグルやアップルなど「GAFA」と呼ばれる巨大IT企業が、大きな利益を上げながら、税制の不備で適切に課税できていないことも問題になっていた。
 デジタル課税は、全世界での売上高が200億ユーロ(約2兆6000億円)超で、売上高に占める利益の割合が10%を超える100社程度が対象。IT企業などの本社が国内になくても、その企業が手がけるサービスの利用者がいれば税金を受け取れる仕組みだ。
 国際的な法人税については、新型コロナウイルス禍で各国の財政が悪化したことで論議が加速。米国の政権交代もプラスに働いた。
 景気を重視したトランプ前政権は、大規模な法人税減税を実施。デジタル課税も、「米国企業を狙い撃ちにしている」として、強く反対していた。
 バイデン大統領は4月、巨額インフラ投資の財源確保を主な目的に法人税率の引き上げを表明。グローバル企業が低税率国に利益を移して課税を逃れるのを防ぐため、海外収益への最低税率を上げる方針も打ち出した。「米国を世界の舞台に戻す」というバイデン政権の方針が後押ししたといえよう。
 だが、野党共和党は増税に反対だ。デジタル課税の提案は米国の税収基盤を損なう可能性もあり、議会審議が一筋縄では進まない懸念が残る。
 法人課税の見直しは、経済協力開発機構(OECD)の大枠合意をG20が承認した。しかし、低税率に頼り、多国籍企業を誘致してきた新興国と先進国の間には溝が残る。アイルランドは低い税率で多くの米国企業の拠点誘致に成功しており、OECD合意に賛同しなかった。
 10月のG20次回会合での最終合意に向け、多国間の広範な理解と調整が欠かせない。
 一方、国内ではコロナ対策費の国債発行で債務残高が1200兆円に達したにもかかわらず、歳出の厳しい見直しや税収確保への議論は乏しい。今回の国際的な法人税見直しを、国内での適正な税制改正にもつなげるべきだ。