[馬毛島アセス] 知事は主体的に関与を
( 7/31 付 )

 西之表市馬毛島への米軍機訓練移転と自衛隊基地整備計画に伴う防衛省の環境影響評価(アセス)手続きで、鹿児島県の塩田康一知事は、アセスの方法書に対する意見を国に提出した。
 方法書はアセスの調査項目などを示すものだが、知事は追加資料の提出などには踏み込まず、調査に事実上のゴーサインを出した。
 地元の賛否が割れる中、知事は国に対して主体的に情報提供を求め、県民の不安解消に努めるべきである。
 方法書は事業による環境影響を「調査・予測・評価」するための項目や方法を記し、縦覧されていた。防衛省は国民や地元自治体の意見を踏まえた知事意見を受けて調査手法を決め、アセス調査に着手する。
 地元が懸念する一つに、方法書に港湾施設の詳細が記載されていない点があった。
 防衛省は基地への人員や燃料の海上輸送、艦艇の停泊などを目的に、係留・揚陸施設、仮設桟橋などの港湾施設整備を計画している。
 だが、方法書は「位置や具体的な内容は今後の検討を踏まえ決定する」とし、埋め立ての有無に触れていない。同省は「現時点で米軍の艦艇利用の予定はないが、整備後の利用可能性は否定できない」と説明している。
 計画に反対する西之表市の八板俊輔市長は「かなり大きな港湾施設になるのではないか」と漁業や環境への影響を危惧。「内容が極めて不足している」と方法書の見直しを求める市の意見に沿う形での対応を県に求めていた。
 知事意見では、港湾施設の配置や規模、構造、航空機訓練の内容が記載されていないことを挙げ、次の段階となる準備書の作成時にはこれらを盛り込むように求めた。
 ただ、調査手法に注文を付ける唯一の機会だった。施設の全体像が見えないまま調査が進んでいいのかという懸念が残る。記載のない項目があるなら、方法書の段階で見直すように国に求めるべきだと指摘する専門家もいる。
 米軍機の飛行について知事は、経路を外れ種子島上空を飛行する場合を想定した騒音調査、低周波音の調査・予測地点の追加などを検討し、結果を準備書に記載することを要請した。防衛省には真摯(しんし)な対応を求めたい。
 島全体を基地化し、米軍機が離着陸を繰り返す国内で例を見ない事業のアセスとなる。知事には情報を積極的に引き出し、県民に公開していく姿勢が欠かせない。
 知事は基地計画自体に対する考えを明らかにしていない。今後、準備書が出された際には自身の意見を述べるとみられるが、計画は県民全体の問題である。アセスの手続きについても国の動きを監視し、県民の暮らしを守る責任があることを忘れてはならない。