[「桜を見る会」] 検察は再捜査で解明を
( 8/10 付 )

 安倍晋三前首相の後援会が「桜を見る会」の前日に主催した夕食会の費用を補填(ほてん)した問題で、東京第1検察審査会は、不起訴(嫌疑不十分)となった安倍氏について、一部を「不起訴不当」と議決した。
 検審は付言として、秘書任せとしていた首相の姿勢を「国民感情として納得できない」と断じた。
 度重なる「政治とカネ」の問題に、国民の政治不信は高まる一方だ。不起訴処分は納得できず、検審の判断は妥当と言える。東京地検特捜部は徹底した再捜査で事実を解明しなければならない。
 「桜を見る会」では2019年、共産党議員が安倍氏の後援会関係者が多く含まれ、私物化していると指摘。前日の夕食会は1人5000円の会費で都内の高級ホテルで開かれ、不足分を安倍氏側が補填していた疑惑が浮上した。
 特捜部は16~19年分の政治資金収支報告書に計3022万円を記載しなかったとして政治資金規正法違反罪で元公設秘書だけを略式起訴していた。
 検審が不起訴不当としたのは、安倍氏の公選法違反容疑(寄付行為)と、資金管理団体の会計責任者の選任・監督に対する注意義務違反があったとする政治資金規正法違反容疑である。
 特捜部は夕食会の参加者に寄付を受けた認識がなかったとして安倍氏を不起訴とした。だが、処分の数日前に一度任意聴取しただけで、事務所の家宅捜索も行っていない。
 検審が、本人の供述だけでなくメールなどの客観資料も入手し、安倍氏の認識を判断すべきだとした点は理解できる。
 収支報告書の不記載についても、十分な捜査が尽くされたとは言い難く、会計責任者とともに安倍氏の注意義務違反も捜査すべきとした。検察は、厳しい批判を真摯(しんし)に受け止めるべきだ。
 今年2月には、香典提供問題で不起訴(起訴猶予)とされた菅原一秀前経済産業相について、検審が「起訴相当」と議決。検察は再捜査の結果、当初の判断を覆し、略式起訴となった。
 「桜を見る会」の問題は、菅原氏のケースに比べて金額も大きく、手口も巧妙でより悪質性が高い、と見る専門家もいる。安倍氏への忖度(そんたく)と思われることがないよう、検察には一貫した対応が求められよう。
 安倍氏は国会で、疑惑について否定する答弁を繰り返した。昨年12月の不起訴処分後は、「結果として事実に反するものがあった。国会に対する国民の信頼を傷つけた」と訂正して謝罪している。だが、一連の問題について十分な説明を尽くしたとは言えない。
 検審の「疑義が生じた際は、きちんと説明責任を果たすべきだ」との指摘は重い。安倍氏は国会で自らの言葉で全容を語るべきだ。