[新型コロナ・県内感染者急増] 医療の崩壊防ぐ準備を
( 8/11 付 )

 新型コロナウイルスの感染者数が鹿児島県内でも急増している。8日の新規感染者は過去最多の104人を確認。50人を超えた日は、10日で6日連続となった。
 警戒基準を示す主要な項目も悪化している。医療の逼迫(ひっぱく)の状況を示す病床使用率は、9日時点で50.8%に達し、ステージ4(感染者爆発的拡大)の指標である50%以上になった。
 病床が足りなくなれば、コロナ感染者の受け入れが困難になるだけでなく、ほかの病気の治療が遅れる事態も招きかねない。県は病床の一層の確保に努め、医療崩壊を招かないための準備を進めてもらいたい。
 9日時点の警戒基準の項目を見ると、人口10万人当たりの療養者数と、直近1週間の10万人当たりの新規感染者数、PCR陽性率でもステージ4相当になっている。事態は深刻だ。
 医療提供体制は種子島の1市2町ですでに厳しい状況だ。島内の専用病床は満床で鹿児島市内への搬送が続く。鹿児島市を中心とした鹿児島医療圏でも病床使用率は上昇傾向にある。
 県は無症状や軽症の感染者のための宿泊施設をさらに確保し、医療機関は中等症以上を受け入れる体制を一層拡充してほしい。
 塩田康一知事は「まん延防止等重点措置」の適用要請を視野に政府と協議を始めたことを明らかにしている。現在ステージ3(感染者急増)の県の警戒基準引き上げも含め、適切な時点での判断が必要だろう。
 今回の全国的な感染拡大の要因の一つは感染力の強いインド由来のデルタ株の広がりにある。
 国立感染症研究所によると、デルタ株の感染力は従来株の約2倍。感染者1人からうつる人数を示す再生産数は5~9.5で、季節性インフルエンザより高く、水ぼうそうに匹敵するとされる。3密(密閉、密集、密接)の一つでも当てはまれば感染の危険性があるというから、注意を怠れない。
 デルタ株は、入院や死亡のリスクが従来株より高いという報告もある。
 65歳以上へのワクチン接種が拡大したことで、県内の重症者は今のところ増えていない。一方、最近では10~30代の感染者が7割近くを占め、接種が進んでいない若年層への広がりが懸念される。若い世代でも急激な悪化や後遺症をもたらす可能性は否めない。感染の危険性を認識できるよう、会員制交流サイト(SNS)を活用するなどの工夫が求められる。
 お盆の帰省シーズンに入った。往来は自粛したいが、もし県外から帰省客を迎えたら、家族以外との接触はできる限り避けよう。基本的な感染対策の徹底が重要である。