[温暖化報告書] 温室ガス削減は急務だ
( 8/12 付 )

 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が最新の報告書を公表した。
 世界で発生している異常気象は、人間の活動による地球温暖化が影響していると分析。産業革命前と比べた世界の平均気温の上昇幅が1.5度を超える時期は、従来の予測より10年ほど早まった。
 深刻化する地球温暖化に関して、科学者から人類への明確な警告である。破滅的な未来を避けるため、各国は協力して早急に温室効果ガスの排出削減に取り組まなければならない。
 IPCCは気候変動に関する最新の科学的知見を評価する組織だ。温暖化の予測や影響、対策などをまとめた評価報告書を定期的に公表している。
 今回の報告書の特徴は「人間の影響が大気や海洋、陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない」と断言した点だ。温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」の採択を後押しした前回報告書で「可能性が極めて高い」としていたのに比べ、表現を強めた。
 温暖化が0.5度進行すると熱波や大雨、干ばつの発生頻度に「はっきりと認識可能な増大をもたらす」という指摘は衝撃的である。
 温暖化と異常気象の関係についての研究は進んでいる。気象庁などの分析では2017年7月の九州北部豪雨は温暖化がなかった場合の約1.5倍、18年7月の西日本豪雨は約3.3倍発生しやすくなっていた。近年国内で多発する豪雨災害や強い台風の接近を考えてもリスクの高まりは実感できる。
 報告書は社会経済成長を五つのタイプに分けて将来を予測した。
 これまでは30~52年としていた平均気温の上昇幅が1.5度に達する可能性の高い時期を全てのシナリオで21~40年とした。化石燃料に頼った開発が続く最も排出が多い場合は今世紀末に3.3~5.7度も上昇。一方、排出が非常に少ないシナリオでは50年を過ぎると下降に転じるという。今すぐに持続的な温室ガス削減を進められるかどうかが大きな鍵ということだ。
 菅義偉首相は50年の温室効果ガス排出実質ゼロや30年度に13年度比で46%削減する目標を打ち出している。実現に向けて先日、地球温暖化対策計画の修正案を示し、30年度にエネルギー由来の二酸化炭素(CO2)排出量を家庭部門で66%、産業部門で37%、それぞれ削減する、などとした。
 だが、どんな手段でどのくらい減らすかは十分には示されていない。政府は実効性を高めるための道筋を国民に示す必要がある。
 10月末から国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)が英国で開かれる。先進国と新興国双方が危機感を共有し、社会の在り方を根本から見直せるかが問われている。