[県が「緊急事態」] 感染防止、基本を地道に
( 8/14 付 )

 鹿児島県はきのう、新型コロナウイルスの警戒基準を「ステージ3(感染者急増)」から「4(爆発的拡大)」に引き上げ、独自の「緊急事態宣言」を発令した。ともに初めてである。
 新規感染者数は3日連続で最多を更新し、医療現場は逼迫(ひっぱく)の度合いを高めている。一人一人が感染防止策を徹底し、県は病床確保へ全力を挙げなければならない。
 全国の新規感染者数はきのう、初めて2万人を超えた。要因の一つは、感染力が従来株より強いデルタ株が主流になったことだ。感染拡大のスピードは格段に上がり、第4波までとは様相が異なっている。
 県の警戒基準を示す主要項目は最高のステージ4相当が目立つ。このうち病床使用率は先月下旬から上昇を続け、この1週間で20ポイント程度増えた。
 特に、鹿児島市を中心とする鹿児島医療圏の使用率は、11日時点で69.7%に達した。下鶴隆央市長は「感染者を入れ替えるタイミングもあり、7割というのは実質ほぼ埋まっている状態」と厳しい状況を説明した。
 塩田康一知事はきのうの会見で、感染経路が不明な市中感染が広まっているとして不要不急の外出自粛や、知人などの来県中止・延期を訴えた。
 県施設の利用制限、霧島市と徳之島3町の飲食店営業時間短縮に踏み切る考えも示した。どうしても会食をするなら少人数、短時間、黙食、マスク会話を、とも呼び掛けた。
 ただ、従来の「お願い」だけで効果が出るかは疑問だ。社会がこうした「宣言」「要請」にすっかり慣れ、行動が緩んでいる面は否めない。
 政府分科会は東京都の人出の削減に向け、混雑した場所への外出の半減などを提言している。人混みを避けることがわが身や家族を守る。改めて自覚したい。
 県内の感染者は原則入院か宿泊施設で療養し、自宅療養は認められていない。ただ感染者が急増し続ければ、療養先の調整を待つ自宅待機者が増え、待機期間も延びることが予想される。そういった状況を見越して準備を急がなければならない。
 ワクチン接種完了は全国で3割台にとどまる中、盆休みで帰省する人が増えている。JR鹿児島中央駅前アミュ広場と鹿児島空港ではPCR検査が行われている。新規感染者の6割超を占める30代以下は特に、帰省を考えるのであればこうした場の活用もお願いしたい。
 最も大切なのは、感染予防の基本に立ち返ることだろう。マスク、換気、手洗い、密を避ける-。県は、全ての年代に届くような強いメッセージをあらゆる手段で繰り返し発信すべきである。