[まん延防止適用] 危機感持ち乗り切ろう
( 8/20 付 )

 もし、身近な人が新型コロナウイルスに感染したら、と想像してみてほしい。効果的な治療法はまだなく、重症化する危険がある。嗅覚や味覚に後遺症が残る人も少なくない。
 鹿児島県内で新規感染者が急増している。きょうから鹿児島、霧島、姶良の3市に「まん延防止等重点措置」が適用される。「今が正念場」(塩田康一知事)であるのは間違いない。
 これ以上感染を広げないためには人との接触を極力減らし、予防を徹底することに尽きる。一人一人が危機感を持ち、難局を乗り切ろう。
 3市の飲食店には来月12日まで酒類提供やカラオケ使用の停止を要請する。大規模なショッピングモールや百貨店などの集客施設には営業時間の短縮や入場者の制限を求める。飲食店の時短要請は県内全域に広げる。
 3市以外でも感染を広げる兆候の見られる地域があれば、機を逃さず重点措置区域に指定すべきだろう。中でも離島など医療体制が脆弱(ぜいじゃく)な地域の自治体とは密に連携を取る必要がある。
 要請に応じれば協力金が支払われる。コロナ禍が長引き、既に売り上げが大幅に減っている飲食店は少なくない。店の存続が困難になったり、経営者や従業員の生活が行き詰まったりしないよう十分配慮してほしい。
 ただ、重点措置の適用がどの程度効果を上げるのか見通せない。
 法に基づいて飲食店などに要請はできるが、個人の行動は制限できない。県が昼間でも不要不急の外出自粛を呼び掛けているように県民の自覚に訴え、感染拡大を食い止めるしかない。
 肝に銘じたいのは、感染者が増え続ければ医療体制が一層厳しくなることである。軽症・無症状の感染者で療養先が見つからずに自宅待機を強いられている人が急増している。
 家庭内感染の広がりが懸念されると同時に、保健所による電話での健康観察が十分できなくなる恐れがある。当初軽症と診断された千葉県の60代男性が、入院先が見つからないまま自宅待機し、その後亡くなった。こうした不幸を招く事態に陥ってはなるまい。
 医療体制を整えるには病床や宿泊療養施設とともに医療従事者も確保しなければならず、その他の病気の治療が遅れるなど影響が出かねない。
 感染力の強いデルタ株は近距離なら空気感染するという。いつ、どこで感染したのか分からないまま、家庭や職場、学校にウイルスを持ち込み、感染を広げてしまう。若い世代にとっても人ごとではない。
 感染のリスクを常に意識し生活することが肝心だ。手洗いや手指の消毒、部屋の換気など予防策を徹底し、自分や身近な人の命と健康を守りたい。