[東京パラ] 五輪教訓に安全徹底を
( 8/21 付 )

 24日に開幕する東京パラリンピックは、東京五輪の期間以上に新型コロナウイルスが猛威を振るう中で開かれる異例の大会となる。
 五輪では、選手らの感染をある程度抑え込んだとはいえ、ほころびが見えたコロナ対策の評価は割れている。全国的な感染急拡大は、五輪開催が国民に気の緩みをもたらした影響との見方も根強い。
 障害の種類や程度はさまざまで、基礎疾患があり重症化リスクの大きい人もいる。政府と大会組織委員会は五輪を教訓に、選手の安全を最優先に厳格な運営を徹底しなければならない。
 大会は9月5日まで13日間の日程で、過去最多の約4400人の選手が参加する見込みだ。会場のある東京、埼玉、千葉、静岡の1都3県が全て緊急事態宣言下にあり、全会場が原則無観客と決まっている。
 共同通信社が今月中旬に実施した全国世論調査で「無観客で開催すべきだ」との回答は64.7%に上った。コロナ下での開催には強い感染予防策が不可欠という国民の意識がうかがえる。
 こうした中、政府や組織委が児童生徒に観戦の機会を提供する「学校連携観戦プログラム」について、自治体や学校が希望する場合は実施すると決めたのが気掛かりだ。
 障害を乗り越えてチャレンジする姿を見る教育的意義は大きかろう。しかし、子どもの感染が広がる中、児童生徒を預かる学校現場には戸惑う声がある。人の流れを抑制しなくてもいいという誤ったメッセージになると懸念する識者もいる。
 政府対策分科会の尾身茂会長も五輪の時より感染状況は悪化しているとして、実施に慎重な姿勢を示す。政府や組織委は大会のレガシー(遺産)づくりに前のめりにならず、専門家の指摘をしっかり受け止めてほしい。実施の可否を再検討すべきではないか。
 大会の感染対策は五輪と同様、外部との接触を遮断するバブル方式を採用する。選手や大会関係者が訪れることができる場所を大会会場などに限定し、専用バスを利用したり、動線を外部と分けたりする。
 ただ、五輪では開幕前から東京・晴海の選手村で滞在中の海外選手に感染が確認された。観光目的で外出して大会参加資格証を剥奪された選手が出るなど、ルールを徹底させる難しさも露呈した。
 パラ選手団の9割近くはワクチン接種後に来日する見通しだ。だが、福島県での事前合宿に訪れたガーナ選手団や選手村に滞在中の大会関係者の感染が既に確認されている。
 感染対策とともに、暑さ対策も欠かせない。準備を重ねてきた選手たちが最後まで全力を出し切れるよう、万全の準備で開幕を迎えたい。