[パラきょう開幕] 共生社会への出発点に
( 8/24 付 )

 東京パラリンピックがきょう開幕する。「多様性と調和」をテーマに掲げ、障害の垣根を越えて認め合う共生社会の実現を目指す。
 東京大会は1964年以来で、同一都市が夏季パラを2度開催するのは初めてである。
 この間、建物や交通機関のバリアフリー化は一定程度進んだ。一方で、「心のバリアフリー」はどうだろうか。大会を一過性とせず、全ての人が安心して暮らせる街づくりへの出発点にしたい。
 57年前の五輪直後に開催されたパラリンピックは、国内で障害者スポーツが広く認知されるきっかけとなった。
 当時、海外選手は自立した生活をし、競技レベルも桁違いだったのを日本の選手や関係者は目の当たりにした。社会の意識を変える転換点になったとされる。その後、ハード面は整備されつつある。
 共同通信が一昨年行った障害者アンケートによると、「障害を理由に周囲の言動で差別を受けたり感じたりしたことがあるか」との問いに、36%が「ある」と答えている。共生社会の理念が浸透しているとは言えない。
 世界がこれまで以上に、障害のある人を分け隔てなく受け入れる大切さを強く意識する大会にしなければならない。共生社会の実現に向け、活動を広げる好機とすべきである。
 だが、新型コロナウイルスの影響で1年延期したものの感染拡大は止まらず、東京、千葉、埼玉、静岡の1都3県の全会場は原則無観客となった。
 海外選手と約100自治体の交流事業もほとんどが中止やオンラインに変更された。龍郷町は台湾の卓球選手ら5人を受け入れ、卓球教室などを予定していた。中止されたのは残念だ。
 ただ、無観客や交流事業中止でも、全自治体にはハード、ソフトの両面から息の長い取り組みが求められる。
 児童生徒の観戦は感染対策を徹底した上で「10万人台」が参加する見通しだ。また、多くの県民はテレビ中継などを通じて、鍛え上げた選手の技術や身体の躍動に目を見張るだろう。障害のある人とない人の壁が取り払われるきっかけになれば、パラリンピック開催の意義を見いだせるに違いない。
 都心の観光名所を組み込んだコースで行われるマラソンなどは、コロナ対策を強化しなければならない。暑さ対策も欠かせない。
 今大会は、159カ国・地域と難民選手団が参加し、史上最多となる約4500人がエントリーした。来月5日まで22競技の539種目でメダル獲得を目指す。
 出水市出身の宮路満英選手(馬術)、鹿児島市出身の坂元智香選手(パワーリフティング)も出場する。健闘を期待したい。