[通学路の安全] 死角ないか点検しよう
( 8/25 付 )

 千葉県八街市の市道で飲酒運転の大型トラックが下校中の児童の列に突っ込み5人が死傷した事故は、28日で発生から2カ月となる。
 飲酒運転は言語道断である。一方で現場は道幅が狭く通行量が多いにもかかわらず歩道やガードレールはなく、PTAが対策を市に要望していた。後手に回ったことが悔やまれる。
 南日本新聞が鹿児島県内の各市町村教育委員会に聞いたところ、改善が必要な通学路は800カ所を超す。危険箇所をドライバーと共有すると同時に、さらに死角がないか洗い出し、安全確保に努めたい。
 全国の通学路は2012年に合同点検が行われている。京都府亀岡市などで登校中の児童らの死傷事故が相次いだことがきっかけとなった。7万4000余りの危険箇所を確認、対策が進められてきた。
 しかし、事故は後を絶たない。警察庁の統計によると、直近5年間(16~20年)に歩行中の交通事故で亡くなるか重傷を負った小学生は2734人に上る。3分の1に当たる908人は登下校中だった。県内は死者こそないものの、44人が重傷を負い、登下校中が21人と半数近くを占める。
 八街市の事故を受け、再び全国で通学路の点検が進んでいる。政府の緊急対策に基づくもので、10月末をめどに各地で対策案がまとめられる。併せて飲酒運転根絶のための取り組みも強化される。
 危険箇所の点検では、見通しのいい道路や幹線の抜け道といった速度の上がりやすい場所などが対象に追加された。教育委員会や道路管理者、警察は子どもの視点に立ち、歩行者優先の対策を練ってほしい。
 「歩行者ファースト」の意識はなによりドライバーに求められる。だが、耳の痛くなるデータがある。
 日本自動車連盟(JAF)が昨年8月、全国の信号機のない横断歩道を通過する約9400台を調べたところ、79%の車が歩行者がいても一時停止していなかった。鹿児島はさらに3ポイント高く、ハンドルを握る一人一人の意識改革は急務と言えよう。
 登下校中の子どもを交通事故から守るには、学校周辺の速度規制や通学時間帯の車両通行止めが効果的だとされる。八街市の現場周辺では時速30キロ規制が始まり、路面に隆起をつけて車両の速度を落とす「ハンプ」などが設置される予定だ。
 これらの取り組みは県内でも広がっている。ただ、八街市の対策が遅れたように、予算の制約もあってハード面の整備は一気に進まないのが現実だ。
 悲劇を繰り返さないため、いま何ができるか。関係機関は地域住民の協力を得ながら、通学路の安全確保に絶えず目を光らせることが重要である。