[子どもの感染増] 新学期控え対策が急務
( 8/27 付 )

 新型コロナウイルスの流行「第5波」で子どもの感染が全国的に増えており、夏休み明けの学校でさらに拡大する恐れがある。
 感染力の強いデルタ株が猛威を振るう中、現状では接種できるワクチンがない12歳未満を含む児童生徒を何としても守り抜かなければならない。
 学校が起点となって家庭や地域で感染が広がれば、医療提供体制の逼迫(ひっぱく)は一層深刻化する。政府は自治体と連携し、新学期に向けて実効性のある学校現場の対策を急ぐべきだ。
 全国の10代以下の新規感染者の累計は今月半ばに約15万人と、2カ月間でほぼ倍増している。鹿児島県内でも急増しており、7月の40人に対し今月は25日現在、既に700人を超えている。
 こうした状況を踏まえ、政府は学校の対策強化に乗り出す。例えば、最大80万回分の抗原検査キットを9月上旬から小学校などに配る。教職員のワクチン接種促進に向けては、学内で接種している大学などに協力を依頼する。
 校内で感染者が出た場合、保健所の指示を待たずに学校が緊急的な休校などの措置を判断できるよう指針も示す。いずれも新学期が本格的に始まる前に、迅速に進めてもらいたい。
 一方、政府は学びを保障する観点などから、全国一斉や緊急事態宣言対象地域への休校要請は見送る。
 判断を委ねられた各教育委員会の対応は割れている。県内では薩摩川内市が9月1~5日、甑島を除く市立小中学校などの一斉休校を決めた。鹿児島市は同1~12日、時間帯を分ける時差登校などを市立学校で行う方針だ。
 学校は子どもにとって学びの場であり、先生や友人と過ごす大切な居場所でもある。共働きの保護者には仕事を続ける上での基盤にもなっている。各教委は制約を求める場合、その必要性を丁寧に説明すべきだろう。
 休校などが長引けば学習面への影響が懸念される。オンライン授業の導入や環境整備を急ぐなど学習格差の解消と感染予防の両立を図りたい。
 部活動でクラスター(感染者集団)が相次いでいるのは気掛かりだ。鹿児島市ではマイクロ飛沫(ひまつ)を吸い込んだことが要因とみられる例があった。どこで起きてもおかしくないと捉えて、安全な活動の在り方を考えなければならない。
 国立感染症研究所は、学校で必要な対策として、子どもや職員の体調確認の徹底、教室や通学バスの換気の励行を挙げる。文化祭や体育祭など「密」になりやすい行事は、延期や中止の検討を求めている。
 この難局を乗り切るには、子どもを取り巻く関係者が危機感を共有し、対策を徹底することが必要だ。