[アフガンのテロ] 泥沼化は避けるべきだ
( 8/29 付 )

 アフガニスタンの首都カブールの空港付近で自爆テロが起き、多数のアフガン人や米兵らが犠牲になった。
 アフガン政権を掌握したばかりのイスラム主義組織タリバンと敵対する過激派組織「イスラム国」(IS)系勢力の犯行とみられている。
 空港周辺には、タリバンの迫害を恐れて出国を目指す人々が殺到していた。その混乱を突いた犯行は卑劣極まりない。米軍は報復攻撃に出たが、泥沼化は避けなければならない。
 テロを実行したとみられるIS系勢力は、アフガンとパキスタンにまたがる地域の領有を一方的に主張している。国連の報告書によると、近年は支配地をタリバンに次々に奪われ、カブールなど都市部での爆弾テロに活動の軸を移していたという。
 アフガンでは今月末に駐留米軍の撤退期限を迎える。米国の自国民らの退避活動を巡りバイデン政権とタリバンは停戦状況にある。世界中の注目が集まる中、テロによって存在感を示す狙いがあったと考えられている。
 米国は事前にテロの情報を把握しており、バイデン大統領もIS系勢力を名指しして「脅威増大の情報がある」と危機感を示していた。
 だが、米軍が空港の外でコントロールできる地域はほぼなく、タリバンに警備を頼っている。テロの情報は共有していたが、阻止できなかった。周辺の治安をタリバン任せにする危うさが露呈した格好だ。
 こうした中、各国の退避活動は大半が最終段階にあるとはいえ、安全上の懸念が高まっている。日本も航空自衛隊の輸送機を派遣したが、退避希望者がタリバンの厳しい検問に阻まれる形で、空港にたどり着けない事態が発生している。派遣された隊員らも含め安全確保にさらに注意する必要がある。
 また、米軍が撤退した後も各国政府は、希望する人が出国できるよう外交交渉や経済支援などあらゆる面で手を尽くすべきだろう。
 バイデン氏は掃討作戦の立案を指示。これを受け、米軍はIS系勢力に対する無人機攻撃に着手した。ただ、米軍の駐留から20年たってもなお、今回のような状況に陥っていることを踏まえれば、軍事的手段でアフガンの安定を得るのは極めて困難と言えよう。
 米軍はIS系勢力による再攻撃を強く警戒している。このまま米軍が撤退を焦り、統治の確立にタリバンが時間を要すれば今後も攻撃が続く可能性があると指摘する専門家もいる。
 アフガンには国際テロ組織アルカイダの勢力も残っており、混乱の中で勢いづく恐れもある。
 再びテロの温床にさせないため、各国は国連を中心にアフガンの安定化を目指す協力の枠組みを改めて構築すべきである。