[全国学力テスト] コロナ下の格差 注視を
( 9/2 付 )

 文部科学省は、小学6年と中学3年の全員を対象に、今年5月実施した全国学力テストの結果を公表した。
 新型コロナウイルス感染拡大による昨春の一斉休校の期間と正答率の関わりが注目されたが、相関関係はないと分析した。
 だが、コロナ下での活動制限は続いており、子どもたちの心身に影響を与えていることが懸念される。今回の結果にとどまらず、長期的な変化や学力格差が生じていないかなど注視していかなければならない。
 平均正答率は、小6が国語64.9%、算数70.3%、中3は国語64.9%、数学57.5%。上位と下位との都道府県差は縮小傾向が続いている。
 国語では、小中とも資料を読み解いて自分の考えを記述する力が弱かった。小6算数では、統計データの分析で正答率が振るわず、中3数学でも同様の傾向だった。
 鹿児島県の公立小の平均正答率は2教科とも全国平均を上回った。対象学年全員が参加するようになった2013年度以降、二つとも全国を上回るのは初めて。公立中の平均正答率はいずれも平均を8回連続で下回った。
 県教育委員会は「授業改善の取り組みを通し、小中とも着実に学力が定着している。市町村教委や学校現場の課題意識が高まった」としている。結果を詳細に分析し、改善点の解決に努めてもらいたい。
 また、新聞を読む回数が多いほど、平均正答率が高くなるという相関関係が全教科で示された。正答率は「ほぼ毎日読む」が最も高く、読む頻度が下がるにつれて率も低くなった。
 同時に実施した児童生徒への全国アンケートにはコロナ禍の影響がにじむ。休校中に「勉強に不安を感じた」と回答したのは小中とも6割前後に上った。
 課題で分からないことがあった時の対応を複数回答で聞くと、小6は「家族に聞いた」78.7%、中3は「自分で調べた」61.5%が最も多い。「先生に聞いた」は、いずれも1割未満にとどまった。
 一方、「そのままにした」がそれぞれ10.1%、14.3%に上っており、誰にも相談できなかった児童生徒が一定数いたことは、深刻に受け止める必要がある。
 新学期が始まり校内感染による臨時休校の恐れもある。休校になった場合、塾に通えてオンライン環境が整っている児童生徒と、経済的に困窮し家庭学習が難しい子どもとの学力格差はさらに広がる懸念がある。何らかの形で学習機会を保障することが不可欠だ。
 コロナ下で家庭環境によって学力に差がつくようなことがあってはならない。国や県、市町村は学校だけでなく家庭への支援も拡充すべきである。