[教員免許更新制] 廃止機に働き方改善を
( 9/5 付 )

 文部科学省は、教員免許に10年の期限を設けている教員免許更新制の廃止を決めた。教育職員免許法改正案を来年の通常国会に提出する方針で、早ければ2023年度に新制度が始まる。
 10年ごとに講習を受ける制度は教員の負担が大きく、現場の多忙化と人手不足に拍車を掛けていると批判されてきた。廃止は遅きに失したと言える。
 新たな制度が過度に負担を強いる仕組みであってはならない。多忙な教育現場の在り方を見直し、子どもとしっかり向き合える環境づくりこそ進めるべきである。
 免許更新制は「指導力不足の教員がいる」との批判の高まりを背景に政治主導で議論が進み、「教員として必要な資質能力を保持するため」と目的を変えて09年に始まった。
 免許の有効期限前の2年間のうちに大学などで30時間以上の講習を受けなければならない。受講しなければ免許を失うため、夏休み中に費用3万円を自己負担し、受ける人が多いという。
 だが、スタート当初から評判は良くなかった。10年の文科省調査によると、小中高などの校長の6割、教員の5割超が「児童生徒への質の高い教育の提供」に対する効果が「全くない」「あまりない」と答えた。
 免許更新制は教員不足を招いた一因ともされる。原則として教職に就いていない免許保有者は講習を受けられず、失効してしまうからだ。
 さらに、有効期限のある教員免許に学生が魅力を感じなくなっているとの指摘もある。鹿児島県など各地の採用試験の倍率が軒並み低下していることもその表れに違いない。
 文科省が人材確保を目的に、企業などに勤める免許保有者に調査したところ、教員への転職に7割超が「関心がない」と答えた。転職する際の問題点として最も多かったのが「忙しさに不安がある」だった。
 25年度までに公立小学校の全学年が35人学級となる。教員がさらに不足すれば、一層多忙になる可能性がある。働き方改革を早急に進め、そんな悪循環に陥らないようにしたい。
 文科省が中教審小委員会に示した免許更新制についての審議まとめ案では、公立学校の教員の場合は、全国の教育委員会が実施している研修を充実させた上で、教委や管理職が教員の研修受講履歴を管理するといった仕組みをつくるとしている。
 教育のデジタル化など社会が大きく変化する中、教員が学ぶ機会を確保するのは重要だ。だが、研修に時間を取られるあまり、授業がおろそかになっては本末転倒である。
 教員の指導力を高め、質の高い教育を提供するためには、現場の意見を尊重した研修の仕組みと内容にしなければならない。