[ふるさと納税] 応援が目的の寄付こそ
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 ふるさと納税による2020年度の寄付総額は6724億9000万円で過去最多を更新した。鹿児島県内自治体への寄付総額も8年連続で最多を更新、398億2000万円が寄せられた。
 新型コロナウイルス感染拡大に伴う「巣ごもり消費」が増加の要因とみられる。さらに、売り上げが減少した産業を応援しようとする動きが影響し、寄付額を押し上げたという。
 災害支援や自然保護のための資金調達を目指す自治体も出始めている。生まれ育った土地や応援したい地域に寄付するという制度の趣旨にかなった取り組みが広がることを期待したい。
 全国の寄付総額は前年度比で1.4倍、寄付件数も1.5倍になった。県内自治体への寄付額も前年度比1.3倍となり、都道府県別では北海道に次いで全国2位だった。
 県内市町村別では志布志市が1位で前年度より10億8000万円増やし約51億円が集まった。大崎町、南さつま市が40億円を上回るなど計12市町が10億円を超えた。経費を差し引いても各自治体にとっては貴重な財源だろう。
 志布志市の返礼品は、うなぎと肉類が約85%を占める。地場産品をPRでき、リピーターが増えることにもつながる。制度のメリットは大きい。
 特色ある使い道を明確にして制度を活用している自治体は少なくない。
 奄美大島5市町村と徳之島の天城町は「奄美・沖縄」の世界自然遺産の保護に役立てる資金を募っている。増加傾向にあるアマミノクロウサギの交通事故死対策などに充てる。
 また、鹿屋市は太平洋戦争の関連資料や体験談の収集・制作事業などを進めるため支援を呼び掛ける。今年7月の北薩を中心とした豪雨による災害復旧工事費に充てる寄付を薩摩川内市や伊佐市などが募集している。
 寄付した人は有効に使われたかどうかチェックする必要がある。そのために自治体側は、地域の課題解決にどのように生かしたのかを詳細に公表することが欠かせない。
 ふるさと納税は19年6月に返礼品を「寄付額の3割以下の地場産品」に限定、高額返礼品による寄付獲得競争に一定の歯止めはかかった。
 だが、課題は残る。コロナ禍で売り上げが落ち込む特産品の販売を支援する農林水産省の補助事業に批判が出ている。結果的に自治体の返礼品調達費が低く抑えられ、寄付額の実質3割を超える品を贈ることができるからだ。
 さらに、都市部の自治体で減収が目立ち、強化すべきコロナ対策への影響を懸念する声が上がる。2000円の自己負担だけで高所得者ほど得をする仕組みにも不公平感が拭えない。
 制度創設に関わり、普及を主導してきた菅義偉首相が退陣する。制度存続のためにも問題点を見直すべきだ。