[IR汚職判決] 再発防止対策の徹底を
( 9/9 付 )

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業を巡る汚職事件で、東京地裁は収賄と組織犯罪処罰法違反(証人等買収)の罪に問われた衆院議員秋元司被告に懲役4年の実刑判決を言い渡した。
 判決は贈賄側の供述を「十分信用できる」として秋元議員の無罪主張を退けた。さらに、証人買収は秋元議員の主導を認定、「最低限の順法精神すら欠如している」と厳しく非難した。
 IR担当の内閣副大臣を務めながら特定の企業と癒着、虚偽の証言を依頼し司法妨害に及んだのは言語道断だ。社会の信頼を損なった罪は重い。
 判決によると、秋元議員は内閣府副大臣などを務めた2017年9月~18年2月、IR事業参入を目指す中国企業側から計758万円相当の賄賂を受領。保釈中の昨年6~7月に知人らと共謀、贈賄側にうその証言をする報酬計3500万円の提供を持ち掛けた。
 「政治とカネ」の問題は後を絶たない。最近でも河井克行元法相と妻案里氏の選挙買収、吉川貴盛元農相の鶏卵汚職、菅原一秀前経済産業相の公選法違反と事件が相次いでいる。
 また、安倍晋三前首相の後援会が「桜を見る会」前日に主催した夕食会の費用補填(ほてん)問題も検察審査会の議決を受けて東京地検が再捜査している。政治資金収支報告書の公開の在り方など抜本的な見直しが急務である。
 今回、事件の発覚でIR事業に潜むカジノ利権が明らかになった。ギャンブル依存症を誘発するなどとして国民のIR反対論も再燃した。
 当時官房長官だった菅義偉首相は「日本が観光立国を目指す上で必要だ」と強調、安倍前首相とIR実現に突き進んだ。だが、先月の横浜市長選では誘致反対を掲げた候補を支援した。IR熱はすっかり冷めたのか。
 今月中に誘致撤回宣言を出す予定の横浜市のほか、北海道と千葉市も誘致を見送った。現在、和歌山県、大阪府・市、長崎県の3地域が名乗りを上げている。政府は来月から計画申請を受け付け、最大3地域を選ぶ。
 長崎県は事業予定者をオーストリア政府が出資する企業のグループ会社に決定、リゾート施設「ハウステンボス」の敷地に整備する。事業費は3500億円で20年代後半の開業を予定し、年間840万人の来訪を見込む。
 各地域が税収増や雇用の創出を期待するのは分かる。だが、施設は持続的に運営できるのか、国内客の入場制限基準はギャンブル依存症対策として十分なのか入念に検討する必要がある。
 子どもたちへの悪影響や暴力団関係者の関与も心配される。立地自治体だけの問題ではないだろう。IRは多くの利権が絡む。国や自治体は今回のような不正を招かないよう対策を講じ、慎重に計画を進めなければならない。