[自民総裁選告示] 安倍・菅政治の総括を
( 9/18 付 )

 自民党総裁選がきのう告示され、河野太郎行政改革担当相、岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行の4氏が立候補した。
 新総裁は事実上の次期首相であり、新型コロナウイルス禍のただ中にある日本のかじ取りという重責を担う。次期衆院選も近づく中、29日の投開票に向けて国民本位の政策論争を展開することが求められる。
 問われるのは、安倍前政権から9年近く続く政治手法をどう捉えているかだ。後継の菅義偉首相も安倍晋三前首相同様、説明責任を果たさず、民意の離反を招いて退陣を余儀なくされた。安倍・菅政治の何を引き継ぎ、どこを刷新するのか明確にしてもらいたい。
 総裁選は国会議員の383票と同数の党員・党友票計766票を争う。党内7派閥のうち6派閥が事実上の自主投票となる方向だ。過半数を獲得する候補者が出ず、上位2人による決選投票となる可能性もある。
 河野氏は発信力を、岸田氏は「聞く力」をアピールする。高市氏は保守層の掘り起こし、野田氏は女性政策などに力を入れる構えだ。女性が複数立候補するのは初めてで、世代交代が進むという見方もある。多様な人材が名乗りを上げたことは評価できよう。
 新総裁にとって最優先課題となるのがコロナ対応だ。新規感染者数は減少傾向にあるが、感染力の強いデルタ株の影響で医療の逼迫(ひっぱく)は続く。いかに感染拡大を防ぎながら、経済を動かしていくか。科学的な根拠と合わせて明確に示す必要がある。自治体との連携もさらに深めなければならない。
 デジタル化やエネルギー政策など山積する課題をどう解決に導くのか。党内向けの議論に陥ることなく、国民に向けて具体的に語ってほしい。
 安倍・菅政権では官邸側が省庁の幹部人事を握った結果、官僚に忖度(そんたく)がまん延し、森友学園を巡る財務省の決裁文書改ざんといった問題を招いた。日本学術会議の会員任命拒否問題でも説明を尽くす姿勢は見えなかった。
 気掛かりなのは、森友学園問題について、解明チームを設置する考えを示した野田氏を除けば再調査に否定的であることだ。党内に影響力を持つ安倍氏への配慮だとしたら内向きの総裁選との批判は免れない。
 共同通信が今月初旬に実施した全国世論調査で次の首相に最も望むものは「国民への説明能力」(36.3%)がトップだった。新総裁がその資質を備えているかどうかが政権の明暗を分けることになるのではないか。
 決選投票を見据え、派閥間の「談合」の可能性もささやかれている。ポスト狙いの派閥政治が息を吹き返すようでは政治不信の払拭(ふっしょく)はさらに遠のく。選ぶ側の姿勢が問われていることも忘れてはならない。