[中国TPP申請] 公正な体制構築が前提
( 9/19 付 )

 中国が、日本などが参加している環太平洋連携協定(TPP)への加入を正式申請した。アジア太平洋経済圏で主導権を握り、対立する米国に対抗する狙いとみられる。
 中国は経済の対外開放や自由化が日本などに比べて大幅に遅れている。競争をゆがめる国有企業の優遇など是正を迫られる課題が山積し、加入へのハードルは高い。
 実現するには、公正で透明度の高い経済貿易体制を構築することが前提となろう。加盟国は中国に抜本的転換を促す好機と捉え、加入交渉を通じて改革を求めたい。
 TPPは農産品や工業製品の関税削減・撤廃や知的財産の保護などを盛り込んだ要求水準の高い経済連携協定(EPA)である。
 当初は巨大経済圏構想「一帯一路」などで影響力を拡大する中国をけん制する「包囲網」として米国が主導し、12カ国が署名した。しかし、保護主義に走ったトランプ米政権が2017年に離脱し、残る11カ国で協定をまとめ直し18年末に発効した。
 中国のTPP参加について、習近平国家主席は昨年11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で「積極的に検討する」と表明していた。一層の経済発展と米国へのけん制の意図が透ける。
 この時期に申請した背景には、自国への包囲網の動きが強まっていることへの警戒感もうかがえる。日米豪印4カ国の枠組み「クアッド」に加え、米英豪3カ国の新たな安全保障の枠組み「オーカス」も構築される中、中国がインド太平洋地域を主導する意志を示す下地づくりとの見方がある。
 ただ、国有企業の優遇、政府による過度な補助金、データの国外持ち出し規制などを続ける中国に対する国際社会の不信は根強い。最近は民間企業への締め付けを強化し、市場経済化に逆行する動きへ懸念が高まっている。
 さらに、中国はTPP加盟国の一部と貿易や安全保障で激しく対立している。加入に必要な全加盟国の承認が得られるか不透明な状況だ。
 加盟国は中国と向き合うと同時に、米国のTPP復帰も目指したい。加盟11カ国の世界の国内総生産(GDP)に占める割合は1割台だが、米国が加われば4割近くになる。中国の加入が実現すれば5割を超す自由貿易経済圏が誕生する。
 米国は対中貿易摩擦の中で知的財産権の保護や国有企業への優遇停止などを求めてきた。復帰すれば多国間で中国に経済の公正化を働き掛けることが可能になる。
 日本は今年、TPPの最高意思決定機関「TPP委員会」議長国である。透明性と公平性を前提に議論を主導していかなければならない。