[保護司の確保] 若手の発掘、育成が急務
( 9/21 付 )

 刑務所を仮出所した人や保護観察中の少年らの立ち直りを支援する保護司の減少や高齢化が全国的に進み、後進の育成が急務になっている。
 鹿児島県の場合、定員に対する充足率はここ10年、90%台だが、今後10年間で約半数が更新上限(原則76歳未満)を迎え、退任する見込みだ。
 地域のつながりが希薄になる中、再犯を防止する上で保護司の役割はますます重要になる。活動の負担軽減を図るなど環境を整備し、若手の掘り起こしにつなげたい。
 保護司は民間のボランティアで、保護観察所長の推薦を受けて法務大臣が委嘱する。対象者と定期的に面接するほか、住居の確保や就労支援を通じて社会復帰を後押しする。
 今年1月1日現在、全国で約4万6000人が活動し、県内では8月1日時点で832人が委嘱されている。いずれも全体の約8割を60歳以上が占め、大幅な定員割れを避けるには、なり手の安定的な確保策が不可欠だ。
 こうした現状から総務省行政評価局は保護司らを対象に調査し今年1月、法務省に対策を講じるよう勧告した。
 調査によると、経験不足から対象者との面接に不安を感じている人が多いことが分かった。そのため、1人の対象者を複数の保護司が担当する「複数指名」の推進を求めた。
 また、自宅での面接は不安や負担が大きいとの意見に対しては、鹿児島でも全15保護区に設置されている「更生保護サポートセンター」の活用を促した。開所時間や設置場所が利用しやすいよう工夫する必要性も指摘した。
 さらに、保護観察の経過などを報告する書類は原則手書きで作成し、郵送する必要があることも課題として浮かび上がった。若い人に限らず負担に感じる人は少なくないだろう。セキュリティーを確保した情報システム環境を早急に整えたい。
 保護観察所は町内会関係者や民生委員らから適任者の情報を集めているが、現役世代は時間的に余裕がなく、後任の確保は容易でないという。地域や自治体の一層の協力も欠かせまい。
 鹿児島県の2019年の再犯者率(検挙者数に占める再犯者数の割合)は49.4%と高止まりしている。こうした傾向に歯止めをかけるには、保護司を十分に補充しなければならない。
 保護司の活動には交通費などの経費は支給されるが給与はない。社会貢献に意欲的な人に頼るだけでいいのか。制度の在り方を検討すべきだろう。
 行政評価局の調査では保護司から「保護観察が終了し、手紙や電話で近況報告があったり街で声を掛けられたりした時にやりがいを実感した」といった声が寄せられている。地道な取り組みとともに、保護司のやりがいも広くアピールしていきたい。