[緊急事態解除へ] 第6波への備え万全に
( 9/29 付 )

 政府は19都道府県に発令中の新型コロナウイルス緊急事態宣言と、鹿児島など8県のまん延防止等重点措置を30日の期限で全て解除する。宣言と重点措置の全面解除は約半年ぶりとなる。
 新規感染者の減少傾向や医療の逼迫(ひっぱく)度改善を受けて判断した。今後、感染防止を図りながら、日常生活の再開と経済の再生を目指す。
 ただ、換気が不十分になる冬場に向けて感染の再拡大は避けられないと指摘する専門家は多い。8月からの流行「第5波」では感染者が想定を超えて急増した。医療提供体制の強化など第6波への備えに万全を期すべきだ。
 国内で報告された新規感染者数は25000人を超えた8月20日をピークに現在は20分の1程度まで減少。宣言解除の新基準である「2週間ほど継続して安定的に下降傾向」をクリアした。
 重症者数も減少傾向が続き、病床使用率は宣言解除の目安となる50%を下回った。感染者や重症者が減少したのは、ワクチン接種を完了した人が対象者の6割近くまで進んだ効果に違いない。だが20~30代は30%超にとどまり接種率向上が今後の課題となる。
 鹿児島県も警戒基準を「ステージ3(感染者急増)」に引き下げ、飲食店に要請していた営業時間短縮や酒類提供停止を全面的に解除する。プレミアム付き「かごしま旅クーポン」の使用自粛要請なども取り下げ、経済活動の再開にかじを切る。
 自粛要請で売り上げが落ち込んでいた旅行や宿泊、飲食業界にとって、ようやく明るさが見えてきたのは確かだろう。ただ、昨年秋は政府が観光支援事業「Go To トラベル」を継続し第3波につながった。
 全面解除で行楽地や繁華街の人出が増えることが予想される。ワクチン接種が先行した諸外国でも感染者が増加しており、油断は禁物だ。これまで同様に感染対策の徹底が欠かせない。
 医療提供体制も感染が抑えられているうちに強化しなければならない。
 第5波では病床が逼迫し自宅療養中に亡くなる人が各地で相次いだ。厚生労働省は既存の医療機関に病床確保を求めるだけでなく、体育館などを利用した臨時医療施設を拡充する方針だ。誰もが必要な医療を受けられるよう体制づくりを急ぐ必要がある。
 政府は希望する国民全員に接種が行き渡ると見込む11月をめどに、行動制限の緩和を目指している。10月中にスポーツや音楽ライブの会場で実証実験を行う計画だ。
 今は第6波を防げるかどうかの正念場といえる。行動制限の緩和は慎重に判断するとともに、感染再拡大の兆候が見られたら機を逃さずに手を打つべきである。