[新型コロナ・オンライン議会] 本会議への導入議論を
( 10/1 付 )

 新型コロナウイルス禍が続く中、地方議会が議会機能の維持と感染対策の両立に苦心している。
 活路を見いだそうと関心が集まるのが「密」を避けられるオンライン化だ。議員からは本会議への導入を求める声が上がるが、議場への出席が必要とする地方自治法の規定に阻まれ、実現していない。
 議員が集まらなくても議決などを行う本会議を開ける手段があることは、災害時にも有効だ。政府は地方の意見に耳を傾け、オンライン本会議の実現に向けて課題を整理し、議論を深める必要がある。
 総務省は昨年4月、コロナ対策として委員会をオンラインで開くことを認める通知を出した。定足数などが自治体に委ねられており、条例や会議規則を改正すれば可能になるためだ。
 その後、委員会のオンライン化の動きが広がった。全国都道府県議会議長会によると、これまでに東京や大阪、熊本など12都府県が必要な条例改正を終えた。鹿児島県議会は予定していないが、離島を含む県土の広さを考えれば検討の余地はあるだろう。
 一方、総務省は本会議への導入を認めていない。地方自治法が「定数の半数以上の議員が出席しなければ会議を開くことができない」と規定し、この場合の出席は「現に議場にいること」と解釈されているからだ。
 コロナ禍の影響で各地の議会は本会議の見送りや議事日程の短縮といった制限を余儀なくされてきた。過度な制限は行政への監視機能を低下させかねない。有事の時ほど議会活動を停滞させてはならないはずだ。議論の質と量を確保する手だてとして本会議のオンライン化は検討に値しよう。
 こうした状況を踏まえ、同議長会は今年7月、オンライン本会議を認めるよう国に制度改正を求める決議を採択した。さらに、鹿屋市議会など少なくとも全国の31市区町村議会が導入に向けて地方自治法の改正を求める意見書を国に提出している。
 本会議のオンライン化が実現すれば育児や介護中でも出席しやすくなる。多様な人材の議会参加に道を開き、懸案の議員のなり手不足を解消する効果も期待できるのではないか。
 ただ、重要な意思決定の場に不備があってはならない。外部の侵入を防ぐセキュリティー対策はもちろん、オンラインの活用に関わる課題を洗い出し丁寧に対応する必要がある。
 地方議会には、「行政の追認機関」といった批判が聞かれる。本会議を開けない事態を招けば、首長の専決処分を漫然と許すことにもなりかねない。コロナ禍に加え、大規模災害が相次いでいる。法改正は待ったなしである。