[教員の人材確保] 質向上との両立不可欠
( 10/6 付 )

 全国的に教員の志願者が減少する中、鹿児島県でも採用試験の受験者数が減り続けている。
 教員の人材確保は喫緊の課題で、文部科学省は免許制度や採用の在り方について抜本的に見直す方針だ。
 教育は子どもの人格を形成する上で、質の高い教員による指導が欠かせない。現行の採用方法や養成システムに不備がないか検証し、必要な変革を急ぐべきだ。
 県教育委員会によると、2017年度までは公立学校教員の採用試験(1次)の倍率は10倍前後で推移。その後、受験者数が減って22年度採用は3倍にまで落ち込んだ。特に小学校の低下が著しく、1.8倍となった。
 特別支援学級の増加などで採用枠を増やしたことが一因とされるが、教員の長時間労働や多忙化が社会問題となり、学生が教職を敬遠する動きが広がったと見ることもできるだろう。
 県教委は受験者数を増やそうと、教員経験者は試験の一部を免除したり、受験可能年齢を引き上げたりと見直しを進めている。一方で他県も同様の対策を取っており、人材の奪い合いの様相となっている。
 文科省は「教師の人材確保・質向上プラン」を策定し、制度改正に取り組んでいる。
 小学校で導入する35人学級を担う教員を確保するため、中学校教員が小学校の免許状を取得しやすいように法改正を検討。大学の教職課程では、小中両方の免許状を取る際に関連する科目を一体的に開設することで、重複する単位を減らすことを計画している。
 質向上の対策としては、大学が教職課程を自己点検・評価し、定期的に見直す仕組みを導入。ICT(情報通信技術)を活用した授業に備えて科目も新設する。
 このほか、民間企業での勤務経験を教育現場で生かしてもらおうと、社会人の登用にも力を入れる。働きながら免許状の取得に必要な科目の単位を取れるよう、制度を弾力的に運用することを検討している。
 近年、少子化による学校統廃合や急速な技術革新をはじめ、教育を取り巻く環境は大きく変化している。小学5、6年での教科担任制導入が予定されるほか、10年ごとに講習を受ける教員免許更新制の廃止が決まった。
 これらは現場の要望や時代の変化を踏まえた対応といえる。現状や将来あるべき姿に合わなくなっている制度や慣習があれば思い切って見直し、働き方改革にもつなげたい。
 教育は「国家百年の計」といわれる。人材確保は一朝一夕に解決できる問題ではあるまい。これからの社会を支える子どもたちを育てるため、質の向上と両立できる長期的な視野に立った制度設計を求めたい。